
第1ラウンドは74ストロークで98位タイ。決勝ラウンドに進むためには、第2ラウンドでアンダーパーで回ることが絶対条件だった大城康孝。大城のスタート時間は午後組の中でもさらに遅めの最終組1つ前、13時05分。ぞくぞくと午前組がホールアウトするのを横目にしつつ、10番ホールからスタートを切った。
10番で4,5メートルのバーディを沈めると、12番ではチップインバーディで流れをつくり、さらに13,14番とバーディを決め、前半で4つスコアを伸ばすことに成功。後半はセーフティーにゲームを進めたが、苦手とする5番でティーショットOBにしボギー。それでもあきらめず、6番で3メートルを沈めバーディでバウンスバック。夕方にかけて風もグリーンもますます読みずらくなる中、セーフティーなプレーを心がけてなんとか68ストローク・4アンダー、通算2アンダー40位まで順位をあげ、見事なカムバックを果たすことができたのだ。

これまで日本プロ予選では圏外がつづいていたが、今年の九州地区予選会会場が所属コースの”くまもと中央カントリークラブ”というご縁もあって、地区予選2位で通過。2021年のパナソニックオープンがツアーデビュー戦だったが、公式戦には初出場。念願だった日本プロの出場資格を自力でつかみ取ることに成功した。
さらに大城には嬉しい出来事も。5月4日に長女の心都(こと)ちゃんが誕生したばかりで「僕が試合で出てしまったら、妻がひとりで育児を頑張っています、だから僕は仕事でオムツ代をかせがないといけないんです」と目を輝かせる。
「昨年結婚をしてから子供も生まれて、こういう出場の機会が巡ってくるという、本当に目まぐるしい一年でした。こうしてゴルフの試合という場に立つと、いつもとは違う何か心境の変化を感じているんですが、プレーができて本当によかったです」と嬉しさをかみしめた。

家族が出来、家族が増えたことで、家長としての責任が生まれたという大城。「これまで自分のことだけを考えていただけに、よりいっそう稼がないといけないって、なんかすごく気合が入りすぎていたんですよ。初日はバーディも獲れず空回りしちゃいましたし。今日は気持ちも穏やかでしたし、良い流れがやってきてくれたんだなって思います」。
育児に奮闘する妻から言われた言葉も思い出しながらプレーを続けた。「二日で落ちたら帰れんぞ。行くからには頑張ってきて」。妻のため、娘のために、これからもゴルフで頑張っていこうと改めて決意したからこその「68」が出せたのだった。
大城は2018年の資格認定最終プロテストに合格。最終ラウンドでは、最終ホール(静ヒルズ9番パー5ホール)でアルバトロスを達成して、プロテスト合格に滑り込んだという伝説も持っている。(関連記事はこちら)
「ようやくホッとしています。あと二日できるんだなって。トーナメントプレーヤーとして初の決勝ラウンド進出、すごく嬉しいです」と大城は口元を引き締めた。第2ラウンドでカムバックできたことを自信にかえて、家族のためにひとつでも順位をあげるだけだ。
