国内ツアーで歴代賞金王(2001年、2003年)に輝いた58歳の伊澤利光が、6バーディ・1ボギーの「67」をマーク。5アンダー・4位タイで初日を終えた。
「これ言うの、かっこ悪いんだよなあ」。照れ笑いを見せながら切り出した伊澤は、この日のプレーにつながった思考の変化について明かしてくれた。
最近はスイングの調整に取り組むなかで、ラウンド中も「スイングのことばっかり頭に行っちゃって、(ピンに)ショットをつけるとかっていうのが遠のいてしまっていた」という。
大きく曲がってOBになるほどのショットではない。それでも、自分がイメージした弾道と実際の球筋に少しでもズレが生じると、「なんであんなに曲がりすぎたのかな、なんで曲がらなかったのかな」と考え込んでしまう。
ショットメーカーで知られ、レギュラーツアー通算16勝、シニアツアー通算2勝を誇る実力者だからこそ、細かな部分まで気になるのも当たり前だ。しかし、そんな自分を「突き詰めすぎちゃった」と口をすぼめる。
そんなとき、ある偉人の言葉が舞い降りた。
きっかけは、前戦の"佐世保シニアオープン"第1ラウンド後に行った練習のときだった。「ふと、ジャンボさんが言った言葉を思い出した。『練習場はスイングをつくるところだ。コースはスコアをつくるところだ』って。ジャンボさん、そういえば言っていたな…と思って」。
昨年12月に亡くなった国内ツアー通算94勝の“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さんの言葉が、ふと頭に浮かんだ。
スコアを作るべきコースで、スイングを作ることに意識が向いていた。そのことに気づいた伊澤は、ラウンド中の考え方を変えた。スイングのポイントは「1カ所」だけに絞り、それ以外はプレーに集中するようにした。「完璧を求めすぎてもいけない。もちろんミスショットはあるんだけど、でも“しょうがないか”、みたいな。切り替えてうまくやれたね」。
ジャンボさんの言葉をきっかけに、ショットの細部にとらわれすぎず、ミスも受け入れながら次のプレーへと気持ちを切り替えられるようになった。「打つときは、ピンの近くに寄せるほうに集中するようにした。それが良かったのかな」とほほ笑む。練習場や素振りではスイングの動きを意識しながらも、実際にボールを打つときは、狙った場所に運ぶことに集中する。その意識の変化が、この日の好スコアにつながった。
思考を切り替えてすぐに結果が出たことについては「たまたまだよ」と笑う。それでも、「きょうは18ホール、いい集中力で久しぶりに回れたなと思っています」と手応えを得た。今季の自己ベストスコアとなる「67」。取材の冒頭では“グッドポーズ”も飛び出し、納得のいくラウンドとなった。
残り2日間も、ジャンボさんの言葉と共に戦う。「いい集中力を持って、“スコアをつくりに行きます”」。2024年の「マルハンカップ 太平洋クラブシニア」以来となるシニアツアー通算3勝目へ、いいスタートを切った。コースでつくるものは、スコアだと胸に刻んで。