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【ファンケルクラシック/事前】ファンケル初代王者・髙橋勝成 25年前を振り返る「家族みんなで観に来てくれた大会」

2026年10月15日
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今年で25回目を迎える「ファンケルクラシック」。初代王者であり、初年度から3年連続優勝を果たした76歳の髙橋勝成は、2001年に優勝カップを手にする自身の姿が写った写真を見て、「いや~…」と懐かしい思いに駆られていた。国内男子ツアー通算10勝、シニアツアー通算13勝を誇る実力者が、25年前の思い出を振り返った。

当時、次男の勝紀君(享年8歳)は5歳。白血病と闘っていた勝紀君は、大会当時、治療によって一時は「治った」こともあった。「40年ぐらいお世話になっているペンションに連れて行って、家族みんなでこの試合を観に来てくれて。(僕は)ルンルンだから、もう、それがうれしくて、うれしくて。それで、完全優勝だった」と明かす。

しかし、「半年後ぐらいに、また再発してしまって。それをなんとか…と言って、(ファンケルの)池森会長にも言って、サプリとかいろいろ考えてくれたりして。長男の骨髄がちょうど合ったので、長男からもらって。100日もてばいいんだけど、98日目でまた再発してしまって」と、完治には至らなかった。「その時に、3回目もここで勝たないとダメだ、というのがあった。だから2、3回目(2002、2003年)大会の優勝は、あまり記憶にないのよ」と胸の内を明かした。

勝紀君も会場に来てくれた初優勝の時は、「ものすごくうれしくて、何て言うのかな、全てが思い通りに行った」と振り返る。当時の副賞はニュージーランドへの往復航空券だった。「それを使って子どもたち、(勝紀君は)少し元気になって病院側も『1週間くらい良いですよ』って言ってくれたときに連れて行ったりしてね」と、家族旅行の思い出を語る。懐かしむ表情には、温かな思いがにじんでいた。そして、2004年に勝紀君はこの世を去った。

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この日、プロアマで一緒にラウンドしたのは、ファンケルの名誉相談役ファウンダーで、大会名誉会長を務める池森賢二氏。「(当時)いろんな話をして、サプリを持ってきてくれたり、援助をしてもらって、とてもお世話になりました。だからこそ、この大会はすごく大事にしたい。こちらの勝手な思いだけどね」と感謝の思いを示した。ラウンド中も、2人だからこそ語り合える濃密な時間を過ごした。会場に飾られた2001年当時の2人の写真を見ながら懐かしみ、並んで写真を撮る姿もある。

「あまり記憶にない」と話していた大会2、3勝目だが、2003年の3勝目のエピソードが印象深い。当時はあまり会話を交わさなかった佐野修一と最終日に優勝を争い、「(後半に)佐野さんが乱れてくるから『おい、ふざけたことやってないでちゃんとやれよ!』って怒ったの(笑)。そこから友達になったんです」と振り返る。戦う者同士として喝を入れたことがきっかけとなり、その後は飲み仲間にまで関係が深まった。

髙橋にとって今大会は3試合ぶりの出場で、先月の「日本シニアオープンゴルフ選手権競技」以来となる。その後の2試合は欠場していたが、その理由は深刻な体調不良だった。

同大会後にあったゴルフコンペで、「(球に)当たらないのよ。体がだるいし、おかしいし。やれば先っぽに当たって右にしか行かない。クラブが鉄みたいに重いし、新幹線で帰る時も、キャディバッグがやけに重たいし、足がもつれるし」。帰宅後に熱を測ると39度近い高熱が出ていた。病院で脱水状態を指摘され、血液検査では炎症反応を示すCRPが12に達していた。

医師から「即入院だ」と告げられたが、「入院したら本当に病気になってしまうから嫌だ」と入院を拒否。抗生物質を服用しながら定期的に検査を受け、最終的にCRPが0.4まで下がり、復帰への道が開けた。医師からは、長期間の脱水状態によって尿路感染を起こし、発熱につながった可能性があると説明された。

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振り返れば、足が思うように動かず、段差を上がることさえ難しい状態だった。それでも、自分では疲労の程度を判断できなかった。「ボーッとしているから、どこからどこまで疲れているか分からない。『こんなもんだろうな』と思っちゃう」。体の異変を見過ごしてしまった背景には、自ら身につけようとしてきた「鈍感力」にあった。

「自分で『鈍感になろう』という訓練をしたことがある。ちょっとしたことで動じないように、鈍感になろうという訓練も結構やった」。

周囲のことに過敏になればストレスがたまる。ミスをしても深刻に考えず、笑い話に変えることを大切にしてきた。しかし、度が過ぎれば、自分の体が発する危険信号まで見過ごしてしまう。「でもそれがあまりやりすぎると、こういう病気になっちゃうんだよね。病気まで分かんなくなっちゃう」と苦笑いを浮かべた。

我慢してため込んだストレスが、妻など身近な人に向かってしまうこともあったという。「バランスが大事。あまり鈍感力がいいと思っていると大事なサインを見過ごしちゃう」。鈍感力は必要だが、自分の心身の変化に気づくことも欠かせない。

最後に語ったのは、失敗と成功への向き合い方だった。「失敗は何回もしないと分からない。失敗したことは忘れなきゃいけないし、成功したことは『なんで成功したか』を考えなきゃいけない」。失敗を引きずらず、成功の理由を考える。そして、自分の体が発するサインにも目を向ける。その大切さを身をもって知った。

今季は、髙橋にとって出場資格のある最後のシーズンとなる。今大会への出場も最後になる予定だと明かした。だからこそ、いまできる精いっぱいのプレーをぶつける。数々の思い出が詰まった大会で、濃密な3日間を裾野で過ごす。