今週のシニアツアーは長崎県佐世保市が舞台となる。3年ぶりの出場となる福岡県出身の藤田寛之は、九州人の血が騒ぐらしい。専修大学進学と同時に福岡の地を離れたが、「九州はなんかしっくりきますよね。空気感とか食事とか言葉も。育ったところなので地元感ありますよね」と話す。福岡や長崎で試合があると実家に顔を出すルーティンは、今も変わらない。
楽しみの一つが、ジュニア時代の恩師に会うことだ。今大会は通常の試合とは別に、スーパーシニアの部というレジェンド11人によるエキシビションマッチが行なわれる。藤田の恩師は、あす10日に72歳になる山本己沙雄(みさお)もエントリーしている。
山本との出会いは高校時代にさかのぼる。藤田がアルバイトしていた福岡県の久山カントリークラブの所属プロだったのが山本だ。「山本さんの練習を見て勉強したり、ゴルフを見てもらったり。そういう高校3年間でした」と藤田の礎を築いたとも言える。
また大学2年の頃には、ブリヂストンオープンに出場した山本の応援に駆け付けた。「ロープの中でプレーする姿が輝いていて、かっこよかったんです。自分もプロになりたいって思ったんです」とプロゴルファーへの意識を鮮明にしてくれたのも山本だ。
ツアーを転戦するようになってから会う機会もめっきり減った。この日は練習グリーンで山本の姿を見つけてあいさつに訪れる。「久しぶりだな!元気か?」。山本も嬉しそうに藤田に声をかける。近況や昔話、50歳を過ぎてからのゴルフの話に花を咲かせる。これも今大会ならではの光景だ。「部門は違いますが、同じ場所でプレーするのはうれしいですね。同じ組で回ってみたいですね」と目を細める。
思い出に浸りながらも、今大会はきっかけをつかみたいところ。
昨年は米シニア(PGAツアー・チャピオンズ)にフル参戦していたが、今季は国内シニアに専念している。「リョーマゴルフ 日高村オープン」で6位タイ、「すまいーだカップ」と「THE EAGLEGOLFシニア」で3位タイと上位に顔を出していたが、ここ4戦はトップ10入りがない。
「ショットが全然ダメで。練習はしているんですけどね。チャンスを作れないからバーディがたくさん取れないんです。宮本(勝昌)みたいに10何アンダーとか伸ばせないんです」。パーキープ率は90.00%で2位と藤田らしさは出ているが、バーディ数は19位タイ(73個)と、スコアを伸ばす戦いについていけていないと話す。実際、今年「67」以下のスコアを出していない。
今年の大会は「レギュラー(ツアー)とかメジャーみたい」と、12フィートの硬く締まったグリーンに仕上がった。「こういうグリーンは好きです」とパット巧者の藤田はニンマリ。距離は短いがラフが深く、戦略性の高いレイアウトで藤田好みの展開になりそうだが「まずは自分の状態を上げたい」としっかり打ち込んで初日を迎える。
2012年に43歳で賞金王になった藤田も今年6月に57歳になった。シニア入り後は3勝を挙げているが、2023年の「日本シニアオープン」が最後。「60歳まではシニアでがんばりたいです。優勝争いできるレベルを維持するために若い頃のように朝からボール打つなど、取り組みを始めました」ともうひと踏ん張りする。
「一つきっかけがあれば、自分のゴルフになってしばらくは戦えそうな気がするんですけど…」。ショットなのか、スコアなのか…。思い入れのある九州の地で、復活の糸口を探す。