単独2位から最終日をスタートした大橋義幸(59歳・TP-B)は、4バーディ・3ボギー・1ダブルボギーの「73」で回り、通算3アンダーでホールアウト。渡邊英治とのプレーオフまでもつれ込む熱戦を演じたが、あと一歩のところで優勝を逃した。
「今日は前半ボロボロでした。いろんなことが起こった一日でしたね」と、大橋は振り返った。
最終ラウンドの序盤は苦しい展開だった。スタートホールでボギーのあとに、すぐバーディを奪って流れを引き戻したものの、続くホールではセカンドショットを右に外して3パットのダブルボギー。さらに4番パー3では、グリーン奥の急傾斜から放ったアプローチが直接カップへ吸い込まれるチップインバーディを奪うなど、一進一退のゴルフだった。
「午前中は本当にバタバタしていました。良いことも悪いことも次々に起きていた感じでしたね」と苦笑い。
それでも後半に入るとベテランらしい修正力を発揮し、スタート直後10番ホールでは3パットでつまずきながらも、12、13番で連続バーディを奪い優勝争いに踏みとどまった。
最終ホールは出場プロが最終組の行方を見守る中、視線を集めたのはグリーン上でのプレーだった。
かつてパットのイップスに悩まされた大橋は、現在では左右両打ちを使い分ける“スイッチパター”を実戦投入。この日も最後の4ホールは左打ちへ切り替えた。
「ほぼ克服できているんですが、少し怪しいなと思ったら右で打てる。そういう安心感があります。両方で打てるのは自分の強みですね」とベテランの技を見せる。
18番では1メートルのパーパットを右打ちで沈め、プレーオフ進出を決定。周囲の選手たちからも驚きの声が上がる中、長年イップスと向き合ってきた経験が土壇場で力を発揮した。
迎えたプレーオフは18番パー4が舞台だ。大橋のセカンドショットはグリーン右ラフへ。「風が吹くと思って7番アイアンでしっかり打ったんですが、思ったより風がなくて少し飛び過ぎてしまいました」と振り返る。しかし、そこから放った3打目はピンそばへ寄せる絶妙なアプローチ。プレーを見守るプロたちからも感嘆の声が上がるほどの、ベストショットだった。
しかし渡邊が4メートルのバーディパットを沈めて勝負あり。「最後にバーディを決められたら仕方ないですよ。渡邊君が素晴らしかったです」と悔しさをにじませながらも、表情はどこか晴れやかだった。
GPR協会代表理事としてゴルフ普及活動にも取り組む59歳。イップスとの闘いを乗り越えながら、大橋は工夫と経験でゲームを続ける。優勝には届かなかったものの、最後まで大会を盛り上げた大橋の存在感は、勝者に引けを取らないほど光輝いていた。