日本シニアオープンで、シニアルーキーの沖野克文が鮮烈なデビュー戦を飾っている。
シニアツアー最終予選会38位の資格でツアーに出場する機会を待ちわびていた沖野だが、今季のシニアツアーは既に7試合を消化しながらも予選会ランキングの出番はまだ無し。日本シニアオープンは、予選会から出場権を仕留め、迎えた待望のシニアデビュー戦となった。初日は1オーバーの53位タイとやや出遅れたものの、2日目に6アンダー65をマークする見事な巻き返しを見せ、通算5アンダー、11位タイで決勝ラウンド進出を果たした。
「初日はリズムがものすごく速かったし、マネジメントも悪かったんです。デビュー戦ということで少し舞い上がっていたのかなと思います」と念願の舞台デビューを思い返した。
初日の反省は明確。ボギーが先行して「焦りました。でもダブルボギーは絶対にしない、ボギーで収めようという考えでした」。振り返れば2バーディ、3ボギーとつかみどころのないプレー内容だった。
ラウンド後には同郷広島の先輩プロである河井博大へ電話で報告をした。「マネジメントが大事だよと言われました。無理なところは無理せず、行けるところで行く。メリハリをつけてやってみようと思いました」と気持ちを切り替えていく。
その助言を胸に、2日目はプレーの組み立てを大きく修正。18ホール全体の流れを考えながらやると決めた。イン10番からスタートし、一打一打を丁寧につなぎ続ける。冷静な判断が光ったのは16番パー3。右サイドへ外したが、難しい状況から無理をせずボギーで切り抜ける。その我慢が18番で結実する。
「グリーン右手前からピッチングで転がして寄せるつもりだったんですけど、入っちゃいました」とチップインバーディ。デビュー戦の緊張感を吹き飛ばす一打が、大きな流れを呼び込むことになる。
後半に入っても攻め急ぐことはなかった。「アウトの1番から3番はタフなので、とりあえずパーを積み重ねよう」と冷静なマネジメントを貫いた結果、この日のボギーはわずか1つ。初日から6ストローク伸ばし、42人抜きの11位タイでデビュー戦の2ラウンド目を終えることができた。
「大満足の結果です」と振り返る表情には充実感をみなぎっていた。
現在、沖野は広島市の舟入ゴルフガーデンに所属し、週6日レッスン業務に携わる。シニアツアー挑戦は本業との両立でもある。「レッスンスケジュールを調整しながら試合に来ています。生徒さんたちも応援してくれているので、本当にありがたいです」と感謝を示す。
予選ラウンドには実際に生徒が応援に駆けつけてくれた。「昨日は一人、今日は二人来てくれました。そういう応援があるから続けられるんです」。
多忙な毎日の中でも、練習や試合への情熱は衰えない。限られた時間の中、全力でシニアツアー参戦の準備を進めてきているところだ。
そして迎える決勝ラウンドに向けては「今日と同じように、自分のリズムだけを大事にしたいです。周りに流されないこと。それが一番難しいんですけどね」と目標を立てている。
シニアツアーの第一線で活躍する宮本勝昌や倉本昌弘らと同じ舞台で戦うことにも胸を躍らせる。「やっぱり楽しみですよ。胸を借りるつもりで挑戦したいです」。
出場機会に恵まれない悔しさを抱えながらも、出場の機会を今か今かと待ち続け、練習を重ねてきた。その努力が、日本シニアオープンという大舞台で花開こうとしている。
レッスンで伝えている技術と経験、そして支えてくれるレッスン生たちへの感謝を力に変えたい。沖野克文のシニアデビュー戦は残り2日ある。やれるところまで、自分の実力を出し切ってみるだけだ。