「そろそろ通りたいですね」。54ホールのホールアウト後、穏やかな口調の中に、長年積み重ねてきた挑戦への思いをにじませた。
最終プロテストに挑む上原忠士、38歳。これまでプロテスト受験は10回以上、あと一歩のところまでたどり着きながら、結果を出せずにいる。「だいぶお金も使いましたね」と苦笑いを浮かべるが、その言葉には挑戦を続けることの現実的な苦労も重なる。
現在は特定の所属先を持たないフリーの立場。派遣キャディとして働きながら、ラウンド後に練習を続ける生活を長年送ってきた。
「キャディの仕事が終わった後に練習させてもらったりしていました。決まったコースがあるわけではなくて、そんな生活をずっと続けています」という立場で、ゴルフの腕を磨きつづけてきている。
そんな上原の原点は野球だった。高校まで野球に打ち込み、団体競技の世界に身を置いていた。
ゴルフを始めたのは20歳を過ぎてからで「面白そうだったんですよね」と理由はシンプル。「ボールも止まっているし、140キロの球を打つより簡単かなと思っていました。でも考え方を間違えていましたね」と笑うが、ゴルフの奥深さに魅了され、気が付けば人生をかけて挑戦する存在になっていた。
今回のプロテストも苦しいことに変わりはない。第3ラウンドでは、7番でバーディを仕留めたが、続く8番でダブルボギーに。9番でバーディを取り返して後半へ。特に注目すべきは、難関12番パー4でのバーディ。「あれはめちゃくちゃラッキーでした」と照れながら振り返った。
残り200ヤード近くからのショットがピンそばに付き、そのままバーディ。続くホールでもバーディを奪ったが、その後は「ピンチしかなかったですね」と苦笑する。それでも粘り強くスコアを守り抜き、「めちゃくちゃ我慢した一日でした」と明かした。
最終プロテストは基本歩きプレーということもあり、38歳の上原には4日間の歩き続ける競技は決して楽ではない。ラウンド後にはジムへ向かい、エアロバイクで体をほぐしてから帰宅する。体が固まらないようにするためだという。
若い受験者たちに混じって戦う毎日。しかし、そこには培ってきた経験がある。そして何より、諦めない気持ちがある。「ここまで来たら、もう取るしかないなっていう感じです」。その言葉には、挑戦を重ねてきた者だけが持つ重みがある。
プロテスト合格まであと一歩。スコアカードは68、69、68と3日間すべてアンダーパーを並べ、成績は上位グループに入ることができている。上原にとって、いよいよ運命の最終18ホールが待っている。