烏山城カントリークラブは梅雨の晴れ間が広がり、グランド・ゴールドの選手たちの年に一度の大会への喜びを映し出しているかのようだ。
81名のゴールド出場選手は、朝7時から本丸コースをスタート。
ゴールドシニアでは渡辺司(69)が2アンダー70で回り初日首位に。首位1打差1アンダーに菱沼孝至(69)、首位3打差1オーバー3位タイに三澤利之(76)、室田淳(70)、初見充宣(73)が続く。
初日首位に立った渡辺司は、「以前、日本プロでもプレーさせてもらいましたし、何度かラウンドした経験はあるはずなのに、まったくコースのイメージが頭に浮かんでこないんです」と苦笑いを浮かべた。
それでも初日は、「昨日は天気が優れず、地面も少しウェットな状態だったので、とにかく思い切ってクラブを振っていきました」と振り返る。前半は38とやや苦しんだが、「後半は手探りのままプレーしながらも、上がり2ホールで連続バーディを奪って32。ゴルフって、あまり真剣にやりすぎないほうがいいのかもしれませんね」と笑った。
また「普段出場しているシニアツアーと比べると、ゴールドシニアは距離がやや短く、長いクラブを持つ場面は少ないんですが、それでもミスは多かったですね。ボギーが3つありましたから、あれが1つでも減れば優勝のチャンスは十分にあると思います」と前向きに語る。
昨年大会は茨城のサミットゴルフクラブで開催され、渡辺は尾崎直道と最後まで優勝を争ったものの、結果は4打差での敗戦。「去年は悔しい思いをしました。リベンジを果たしたい相手が今回はいないのは少し残念ですが、強い選手は他にもたくさんいますからね。一打一打に集中して、いい戦いができるよう頑張りたいです」と闘志をのぞかせた。
ゴールドシニア2年目を迎えた渡辺にとって、最終日は雪辱を期す大事な一日となる。
渡辺と1打差の1アンダー、71で初日を終えた菱沼孝至(69)は、「スタートからバタバタしてしまって」と苦笑いで振り返る。「2番でボギーを打って、その後はずっとパーが続いたんですが、後半に入ってバーディ・パー・バーディと流れが来ました。ところが次のホールで、ティーショットをフェアウェイのど真ん中に運んだら、同組の日向さんに『真ん中からボギー打つ人いないよね』って言われて、本当にボギーになってしまって(笑)」と、終始リラックスした表情を見せた。
終盤は難度の高いホールが続く“三の丸”でのプレーとなったが、落ち着いてパー、そしてバーディを奪取。見事アンダーパーでホールアウトした。
先週は、大学時代に所属していたゴルフ同好会の先輩たちと久々に再会し、激励を受けたという。「福岡の玄海ゴルフクラブでプレーさせてもらい、とてもいい経験ができましたし、大きなエネルギーをもらいました」と語り、初優勝に向けて好調な手応えを感じている様子だ。
一方で、苦い記憶もある。2020年の関東グランドシニアでは65のビッグスコアをマークしながらも、芹澤信雄に63を叩き出され逆転優勝を許した。「あのときは1日競技でしたが、試合展開が本当にすごくて、ワクワクしましたね」と振り返りつつ、同世代とのし烈な争いこそがこの大会の醍醐味であることを実感している。
現在は埼玉県の武里ゴルフセンターで週4日レッスンを行いながら、自身の練習にも励む日々。28歳でプロ入りし、69歳となった今も競技の舞台に立ち続けるモチベーションは衰えない。
「あと1日、しっかり頑張ります」。そう話す表情は、穏やかさの中にも確かな闘志をにじませた。
上位陣では、76歳の三澤利之が73ストロークで回り、3位タイグループに食い込んだ。さらにエージシュートも達成し、優勝争いに名乗りを上げている。
「去年ちょっと体を壊してね。脳梗塞だって言われたんですよ。本当は違ったんだけど」と、静かに当時を振り返る。昨年8月に入院し、その翌月に出場した日本プロゴルフゴールドシニア選手権では、52位タイと本来の力を発揮できなかった。「来年はなんとか復活して、まずは出場しようと思っていました。それだけですよ」と語るその表情には、過度な焦りはない。
復帰までの時間は、ゴルフよりも体を整えることを最優先に過ごした。「ボールを打つというより、とにかく健康第一。歩いたり、スイミングをしたり、体づくりに専念していましたね」。思わぬ病を乗り越え、ようやく競技の舞台に戻ってきた。
日々の生活でも意識は健康管理に向けられている。「食事もね、何を食べたらいいのか分からなくて(笑)。人に聞いたり、自分で選んだりしていますけど、考え過ぎてもよくないですから」。気負いすぎず、楽しみながら続けることを大切にしている様子だ。
プロ仲間には、大野雅幸や伊藤全といった関東グランド・ゴールドのチャンピオンたちがいる。「一年に一度、みんなで顔を合わせて、あれこれ話しながら過ごせるのが本当に楽しいんです」。勝負の舞台でありながら、再会の喜びもまた大きなモチベーションとなっている。
優勝争いのプレッシャーよりも、まずは健康な体でゴルフができる喜び。その充実感が、三澤のプレーにも穏やかな力強さをもたらしている。
さまざまなゴルフ人生が交錯するゴールドシニア。今年の物語は、どんな結末が待っているか。