プラヤド・マークセン(タイ)は60歳になっても強かった。首位と4打差の4位タイから出たこの日、7バーディ・ボギーなしの「65」で回り、通算14アンダーで大会2勝目を飾った。シニア通算26勝目は60歳になって初優勝となった。シニアツアーでの60歳以上での優勝は2023年「コマツオープン」を制した久保勝美以来、史上11人目となった。
4打差で2日目を終えた昨晩、寝る前に考えていた。「みなさんのスコアが伸びるので、明日は7アンダーか8アンダーは出さないと」。目標スコアを出すために取った策がパターの変更だった。
初日、2日は新しいマレットタイプのパターを使用していたが、「下りのラインが速く見えて届いていなかった」とフィーリングが合っていないかったことから、5年以上使う絶対的エースパター(オデッセイ『ホワイトホットOG#7 NANO』)の投入に踏み切った。
この作戦が見事にハマる。2番で2メートル、7番で4メートル、8番で1メートル、9番で3メートルと前半からバーディラッシュ。上位陣が伸び悩み大混戦の中、首位に浮上した。
後半に入って14番で1つ伸ばした直後、自分が首位に立っていることを把握した。15番は3メートルを流し込んで力強いガッツポーズが飛び出す。続く16番パー3ではティショットがショートし、アプローチを寄せきれずに4メートルほど残ったパーパットもラインを読み切ってピンチをしのぐ。17番パー4では、「優勝を確信した」10メートルのバーディパットを決めて、大きなガッツポーズを見せた。
2017年の第1回以来の大会2勝目。「大好きなコースで優勝できてうれしいです」と喜びを見せたが、終わってみれば昨晩イメージしていた7アンダーの「65」。いいパットが入り始めたら止まらない、マークセンの勝ちパターンだった。
2016年にシニアデビューしたマークセンは、今年で11年目。ルーキーイヤーから3年連続と6連勝を記録した22年と4度の賞金王を獲得。ツアー史上最多優勝記録も誇る。そんな“最強シニア”が今年1月には60歳の誕生日を迎えた。ちなみにタイには日本の還暦のようにお祝いする習慣はないそうだ。
「60歳だからあまり欲を出さずに。目の前のプレーに一生懸命やっただけ」と勝因を語ったが、「飛距離は落ちていないし、体の痛いところはどこにもない。たまに近いところが見にくいのと足の指の血豆が気になるぐらい。飛距離もスイングも自信を持って打てている」とゴルフも体も衰え知らず。
5度目の賞金王となれば、金井清一に並ぶ歴代最多タイとなる。「賞金王?あまり欲はないです(笑)。60歳以上の選手はたくさんいるので、いい競争が出来ればいいんじゃないでしょうか」と、シーズンを通しても欲を出さないのが60歳を迎えた今年のテーマのようだ。
60歳以上の優勝者はマークセンが11人目。60代で7勝を挙げる室田淳が最多記録。それを聞くと「スーパーシニア!」と室田を称賛するが、7勝という数字にはニヤリと笑い、密かな目標になったように見えた。欲を出さずに勝ちパターンで飾った26勝目。60歳になって“無欲”が加わり、強さに磨きがかかっている。
その室田は現在70歳になっても第一線で戦っている。マークセンの10年後は?「…あの、考えていないけど、年を重ねてトーナメントに出なくなったら、コーチをやりたい。今も若い子からリクエストを受けますが、ジュニア育成とかやってみたいんですね」。ゴルフは世界共通。マークセンイズムを日本のジュニアに注がれる日が来るかもしれない。