新規シニアトーナメント「第1回リョーマゴルフ日高村オープン」の最終ラウンド。会場となったグリーンフィールゴルフ倶楽部では、初夏を思わせる強い日差しがコースを照らす中、早朝から多くのギャラリーが詰めかけ、大会の行方を見守った。
36ホール短期決戦の最終ラウンドでは、最終組の4人が主役。初日に9アンダー63で回った山下和宏を筆頭に、8アンダー平塚哲二、6アンダー宮本勝昌、そして5アンダーに片山晋呉とレギュラーツアー当時一緒に戦ってきたメンバーが揃い、熱い戦いが繰り広げられた。
宮本がスタートから3連続でバーディを仕留め流れを作り、5番で勝ち越しのイーグルを奪取。この時点で宮本は11アンダーとスコアを2桁にのせ山下を逆転した。
7番では山下も負けじとバーディを奪うと、首位の宮本に並び首位の座を逃さない。ところが8番で宮本はバーディをとり1打先行。9番は互いにボギーにし、勝負はバックナインへと持ち越しになった。
後半宮本は11アンダーからスタート。11番でボギーにしてしまったが13番でスコアを戻すことに成功。山下は10アンダーで後半へ入ったが、12番、13番で3つスコアを落とし優勝戦線から脱落。
一方、後半じわりスコアを伸ばしてきたのが、首位4打差からスタートした片山。前半で2つスコアを縮めると、後半も13番までに2つバーディを重ねて、トップを走る宮本に2打差まで肉薄。たかが一打、されど一打。ボギー、バーディではあっという間に逆転劇が起こる。宮本と片山の攻防戦は最後まで続く中、18番ホールで片山は短いバーディパットを沈めたが、パーでしのいだ宮本には1打及ばず、今季3戦目は宮本が勝負をつけた。
「レギュラーの時は晋呉に勝てなかったけど、シニアでは今のところ晋呉に勝てているのでとても気分がいいですよね」と宮本は胸を張る。90年代の日本大学ゴルフ部同期「宮本勝昌」と「片山晋呉」は、ジュニア時代から切磋琢磨を続けた仲。そんなふたりの好戦は3年前の福岡シニアオープンでも印象深い。
二人は12アンダーで並び、プレーオフ2ホールを存分に技をぶつけ合い、宮本が勝利を収めた歴史の一幕も。ジュニア時代からゴルフを一緒にやっていた仲間とシニアツアーでも変わらずに戦うシーンは、ゴルフの面白さと魅力を改めて伝えてくれる。
「トップとは3打差ありましたが、初日もいいゴルフはできていたので、最終日はそれ以上のゴルフをしないと優勝できない」という思いを胸に秘め、スタートから3ホール連続でバーディを見せつけ「いいプレッシャーを与えられた」と振り返ったシニア通算10勝のキングは潮目を読み取り、一気に勝負へ踏み込んだのだ。
そこから差が開かない、我慢の時間帯もあった。18ホールうまく行き切ることも難しい。それをパーでしのぎながら、少ないチャンスを掴んでいくことができた。
「本展開というか、勝負には流れみたいなのがあるかなと。今日は晋呉のパッティングは半分くらい入っていなかったので、そこは救われましたね」と肩をなでおろした。
3年連続シニア賞金王として出場した今季シニア開幕戦の「ユニテックスシニア」では20位、4月の海外シニアメジャー「全米プロシニア」では50位、そしてレギュラーツアー「中日クラウンズ」では予選落ちと、宮本はくすぶってしまっていた。
「ここ最近のシニアツアーを経てからのレギュラーツアーに出場した中では、一番悔しさがあったんです。良いスコアもでていなかったので、ゴルフの難しさを改めて感じるこの数か月でした。だからこうして優勝という結果が出たというのは、私にとって非常に良い薬です。本当にありがたい薬なんです」とこのシニア11回目の勝利をかみしめる。
「今大会は、ちょっと新しい試みがありました。自治体と一緒に大会を作り上げることや、女子プロゴルファーと真剣勝負をやるとか、非常に刺激のあった2日間でもありました。そういう記念すべき大会の第1回で優勝というのは本当に嬉しいですし、誇りです」。
始めての取り組みがちりばめられた第1回大会。「この大会がモデルケースになって、PGAシニアツアーはこういう面白いトーナメントができるんですよっていうのを、なんとか全国に発信するキッカケになってくれたら嬉しいです。そして来年もまた日高村に来られることを楽しみにしています」と充実感をにじませた。
「いつもの優勝よりも嬉しさが2割くらい多いかもしれません」と宮本のビックスマイルがキラリと光った。
来週はレギュラーツアーで公式戦のひとつ、日本プロゴルフ選手権センコーグループ杯に“2025年シニア賞金王”として出場する。「中日クラウンズの悔しさをなんちゃらってつもりではないですけど、いいゴルフをすれば、もしかしたら上位にいけるかもしれないっていうのを醸し出せた感じです」と一筋の光もさしている。
今年の大会は、谷口徹、片山晋呉、手嶋多一、上田論尉といったシニアツアーで活躍する選手もリスト入り。「チームシニアっていうつもりはないです(笑)。ただ、だれかハマって上位にいったら面白いですよね。一戦、一戦。一戦必勝を心掛けてやっていきます」。
レギュラーツアーでは151試合連続出場という偉業を達成している宮本は、シニアでもまだまだ精力的に試合に向き合って、勝ち数を重ねていくことを誓った。