「関西プロゴルフグランドシニア選手権大会 KOJIMAHDカップ」の最終ラウンドが4月24日、広島ゴルフ倶楽部鈴が峰コース(5,895ヤード/パー70)で行われた。第1ラウンドは降雨によるコースコンディション不良で中止に。勝負は1日限りの18ホールのストロークプレーで行われた。
60歳から67歳までのグランドシニアは66名が出場。選手の中にはコースメンバーの倉本泰信(60)やシニアオープン覇者・平石武則(66)、シニアツアー優勝経験のある溝口英二(61)、植田浩史(67)、シニアツアー参戦中の中村龍明(61)といったベテラン強者の名前も見られ、短期決戦は大混戦が予想されていた。その接戦を見事に制したのが広島県廿日市市出身の田村尚之(61)だった。
18ホールの成績は5バーディ・ノーボギー。5アンダー・65ストロークは2位タイグループに3打を着けての快勝だ。「今日のパターはミスがなかった」と本人も合格点をつけるナイスラウンドをみせた。昨年のグランドシニアデビュー戦では26位と不甲斐ない順位だったが「今回は普段通りにできた」と自宅通勤をアドバンテージにあげ、「協賛していただいたコジマホールディングス小島会長の息子さん(故人・小島礼志さん)と試合で戦った思い出やご縁もありますからね、ぜひ地元プロとして頑張りたい」と格別な思いがあったことも要因のひとつだった。
田村にとっての鈴が峰は「1年に一回はプレーさせてもらっていますけど、ティーショット、セカンドの打ち上げ、打ち下ろし、ピンの位置とすべてが難しい」と頭も抱えるコースのようだが、今年は見事な戦いぶりだった。
最近取り組み始めたパッティング力をあげるための“エイムポイント”(AimPoint)が実践で成果を現しつつある。「僕は視力が乱視もあって、グリーンリーディングができない。パッティングは右が高くにしか見えないし、右に外れてばっかりだったけど、”踏む”という感覚と、傾きのパーセンテージはつかみつつあります」と顔に安らぎの色を浮かべた。
ただ悩みも抱える。それは60歳を迎えたころに感じた”背中の張り”。もともと胸椎黄色靱帯骨化症を患っていることもあり、寒暖差がゴルフスイングに直結してしまうことだ。「背中次第でトレーニングもできなくなってきて。」と歯がゆい思いもある。
近年は最終予選会に挑戦しながら出場のチャンスを伺っているというが、田村はテレビのゴルフ番組にも出演機会の多い人気のシニアプロ。「4月からね、中国放送アナウンサーの娘(田村友里さん)の100切りをさせるっていう番組が始まってね(笑)。娘は割とね筋がよくって。家族っていうか、娘とこういう接点があるのもいいかなと」と新鮮なテレビの企画も、田村がゴルフを続ける原動力にもなっている。
地元選手として地元”広島”で勝てたことにも感謝する。「僕は学生時代を終えて、就職も全部こっち。娘も息子もやっぱり地元に帰ってきた。海も山もある。ゴルフ、釣り、スキーって広島はなんでもできる場所。空気と水が僕にはすごく合うから、今回も広島で優勝できたということは相性のいいことを確証したというかね」。田村は優勝できたことを改めて噛み締めた。
田村は49歳で資格認定プロテストに合格。シニアツアーには2014年から2022年の9年間シード選手として活躍。プロゴルファーとサラリーマンという2つの顔も持つが、生活の中で器用に両軸の仕事を回し続けている。
「もう一回くらいね、シニアツアーでシードを獲って出たい。43歳の時に日本アマのプレーオフで負けてから、最年長記録を更新しようとトレーニングをしだした。そこで倉本昌弘さんからプロの道へとお声がけいただいて、こうして今がある。もうちょっと息長くできるよう、背中の張り次第ではありますけど頑張ってみたい。それと娘には負けないように続けていきたい」。
61歳・田村は選手寿命を延ばすことを目標に掲げ、家族との絆を強くしつつ、夢に向かって歩を前に進めていく。