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シニアツアー 競技情報

【日立3ツアーズ選手権】難敵は予想外の寒さだった?! 最強布陣のPGAチームは3位でリベンジ叶わず

2025年12月14日
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PGAチームはキャプテンにシニアで4回、JGTOチームでは3回の出場経験がある藤田寛之を迎え、シニアツアー3年連続賞金王・宮本勝昌、タイ出身のタマヌーン・スリロット、プラヤド・マークセン、岩本高志、飯島宏明という6名の布陣を揃え、今年の戦いの幕が開けた。

PGAチームは賞金ランキング上位選手が多いことも特徴だ。6選手合計でレギュラー・シニアで計77勝を挙げている最強シニアチームが結成。2018年以降7年ぶりの優勝を狙い、戦いの火蓋が切られた。

20回記念大会当日は早朝から降り続いた雨の影響で、10時19分にコースコンディション不良の為、"ファーストステージ"競技中止を発表。今年の戦いは、セカンドステージだけで勝負が決まることになった。

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徐々に雨も小康状態へと好転し始める正午。選手は体も気持ちもリセットし準備を整える。気温は5℃を下回り、吐く息も白くなり、それはシーズンを締めくくる冬らしい光景。2025年の最強ツアー決定戦は予想外の"寒さ"という状況で戦うことになる。

セカンドステージの競技方法"オルタネート"とは、各ペアが1つのボールを交互に打ちカップインを目指すもの。ということはワンショットの出来が、次の選手の役割に影響することもあり、1つミスをすれば、次のショットに大きなプレッシャーを与えることになるので、より慎重にゲームを進めることが求められるのであった。

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□第1組□ 岩本高志&飯島宏明

スタート1番(パー5)ホールでバーディ奪取し好スタート。6番パー3でもバーディを重ね、残り3ホールも勢いで乗り切るかと思われたが、8番パー3で痛恨のダブルボギー。ガードバンカーから岩本のセカンドショットはホームラン。「砂が思ったよりも硬くて跳ねてしまって…。ショット大事にやり過ぎたのかな」と肩を落とした。「そのあと飯島さんが奥からアプローチ、2メートルちょっとにつけてくれて。そのボギーパット、外しちゃいました」と万事休す。「僕ら、つゆ払いの組で勢いに乗って勝てたのになぁ。来年の課題です」と振り返った。

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岩本は「飯島さんはすごくいいショットを打ち続けてくれて、素晴らしかったです。頼りになる兄貴です!」と笑顔で感謝。「来年も3ツアーズの出場目指して、一年間頑張りたい」と決意した。

パートナーの飯島。実は2年前の3ツアーズで試合直前に腰痛を発症し大会を欠場していて、今回こそは”完走”と”優勝”を目指しての出場。「ノープランで岩本さんとプレーしましたが、最高に楽しめた一日でした。幸せな一日。やっぱり来年も出場したいです」と充実感をにじませ、次は優勝を狙いにいくと誓いを立てた。

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□第2組□ タマヌーン・スリロット&プラヤド・マークセン

タイ出身の最強ペアがシニア2番手として登場。マークセンは4度のシニア賞金王タイトルを獲得し、シニア最多の通算25勝をあげている試合功者。スリロットはデビュー戦だった2023年の日本プロシニアでいきなりの優勝。さらに今年は日本シニアオープンとファンケルクラシックでも優勝し、賞金王争いを最後まで演じた名手でもある。

そんなタイ最強コンビは、スタートから元気がない。「寒いのが本当に苦手なんです」とマークセン。「寒いと体も回らないんだよ」と肩をすくませる。スリロットも「寒いのダメダメ」とポケットにはホッカイロをたくさん忍ばせ、なにやら不安げな表情。それでも最強コンビはティーショット前に「スー、スー!」とタイ語で「頑張ろう」と大きな声で仲間に呼びかけてスタートした。

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スタートからパーを4つ重ねて我慢した。ところが5番ホールで、スリロットが打ったセカンドショットはグリーンオーバー。マークセンのアプローチは寄せられずグリーン周りで失敗。流れを作れずカップインまで6打費やし、このホールは痛いダブルボギー。最終ホールもボギーとし、あがってみればノーバーディと、最強のタイコンビはこの組で3番手に終わった。

マークセンは「今日はあいにくの天気で、太陽が出ていないし、ラインも良く読めなかった。もう…寒さと雨に勝てませんでした」とがっかりした様子だ。タマヌーンは「寒すぎて手が固まって動きませんでした。こんな寒さの中でプレーした経験があまりなくて…」と声も小さくなったが「でも楽しかったし、また来年もランキング上位で出たいです。だけど、寒いのはやっぱり苦手だな」とタイチーム最大の敗因は“想定外の寒さ”に尽きた。

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□第3組□ 宮本勝昌・藤田寛之

“キング・オブ・シニア”宮本と、米国チャンピオンズツアー参戦から帰国した“日本シニアの顔”でもある藤田が、PGAチームの大トリとして登場。気合も充分。ふたりはスタートホールをバーディ奪取し、好ゲームを予感させた。

ところが4番でボギーとしスコアを戻してしまうと、6番でJLPGAチームがバーディで逆転に成功。PGAチームは最終9番でボギーを重ね、終わってみれば第3組目で3番手の最下位。「今年こそ…7年ぶりにシニアに勝利を」と周囲からお願いが続くプレッシャーも加わった。「これ以上、最強の布陣はないでしょう」とPGAキャプテンとして指名された藤田は自信をのぞかせていたが、残念な結果に。それでも「箸休め」のシニアとしての役割は充分果たしたのかもしれない。

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宮本と藤田は長きに渡り互いを知る間柄で、芹澤信雄率いる“チーム芹澤”のメンバー。レギュラー時代にも日韓戦などを通じてペアを組んでいたこともあり今回も藤田は「阿吽ですよ、阿吽。なにも言わなくてもね」と互いの信頼も大きかった。

インタビューで「悪天候でキャンセルになった影響が?」と“敗因”を聞かれた宮本は「影響はあったねぇ。短期決戦はシニアには苦しいよ。3日でも4日でも3ツアーズはやりたいところ」プレーシャーから解放され、表情もすがすがしい。

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藤田は「宮本さんの誘いもあり、PGA明神会長から推薦をいただけるということで、今回の出場が実現しました。今年はずっと日本にいなかったですし、怪我もしていたから、本当にいいのかなって思ってもいて。最終的にはこの大会に出場できるということは光栄なことなので、宮本さんと出られたというのは良かったです」とゴルフファンの前でプレーを楽しめたことに、充実した表情をにじませた。

PGAチームは、2018年ぶりの優勝を飾ることは叶わなかったが、ペアそれぞれに新しい気づきや感動が生まれ、収穫もあった様子。3チーム中3位でも、日本を代表するゴルフ3ツアーのトップ選手が集うスーパーハイレベルの戦いは、大きな価値を持つ。

来年こそは、男女のトップ選手を脅かすシニア選手の奮闘に期待したい。

また"フォー・チャイルドチャリティ"を副題にした、日立3ツアーズ選手権。これまでに集まったチャリティ金は4億6000万円を超え、ゴルフを通じた社会貢献活動は着実に次世代へと受け継がれていく。

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