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競技情報

2025年「PGA HANDA CUP ・フィランスロピー障がい者ゴルフ大会」を若洲GLで開催

2025年12月03日
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プロゴルファーと参加者が同じフィールドに立ち、ゴルフを通じて心・技・体を磨き合う――。PGA社会貢献活動の一大イベント『2025 PGA HANDA CUP フィランスロピー障がい者ゴルフ大会』が、12月2日、東京・若洲ゴルフリンクスで華やかに開催された。

競技には上下肢・聴覚・内部障がい、そして視覚(全盲・弱視)を持つ105名が挑戦。7部門に分かれ18ホールストロークプレー・新ぺリア方式による個人戦で熱戦を繰り広げた。


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この大会は1999年に幕を開け、プロと共に創り上げる障がい者ゴルフの舞台として歩みを続けてきた。国際スポーツ振興協会との共催は今回で18回目。会場の若洲ゴルフリンクスは、先月国際大会であるデフリンピックのゴルフ競技が開催され、例年より1、2ケ月遅れて今回の障がい者ゴルフ大会が決定したことは、抜群のコースコンディションという環境が提供できた。東京湾は澄み渡った青空が広がり、挑戦者たちの闘志を一層燃え上がらせた。

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多くの参加者が入口に集まり大会の開始を心待ちにした。受付は7部門に分かれて行われ、出場者は手続きを済ませた後、午前7時15分から変則ショットガン方式で部門ごとにスタート。当日は雲が広がる空模様ながら、時折差し込む陽射しの下で選手たちは汗をぬぐいながらプレーを楽しむ姿が見られた。

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上肢部門で出場した柴和夫さんは体を壊してから久しぶりの出場。「ひさびさに出場して、本当に楽しかった。朝茨城から東京まで来た甲斐がありました。プロも2名ついてくれてね、遠慮して質問できなかったけど、問題点がいくつか分かったので、今度は質問することをまとめておきますよ。素敵なプロたちとラウンドさせてもらって良かった」と笑顔だ。

大会では会員がプレー支援の役割を担い、ラウンドレッスンの実施やスタート時の説明、さらにアテスト業務の補助などに従事した。今年はプロゴルファーによるサポートスタッフ名に加え、学生ゴルファー10名が会場に集まり、運営体制を強化。選手と共にラウンドを回りながら競技を支え、ゴルフの魅力を分かち合う姿が随所で見られた。

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プロサポートスタッフとして52名が参加したが、初参加した上江洲正樹会員は、上肢の部のラウンドサポート業務についた。

「正直プレーの内容は健常者の方々と変わらない。敢えていえば飛距離の違いくらいしかない」と率直な感想だ。「みなさんは自分に出来ること、出来る限度をちゃんと自覚されているので、それ以上の選択はしない。だからスコアがまとまっていると感じました。ゴルフをゲームとして進めていて、それが楽しさにつながっていました。健常者は自分の爽快感を優先にしがちですよね」。改めて俯瞰して見たゴルフで、新しい気づきも得られたようだ。

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もうひとり、初参加の長谷川正樹会員に聴覚サポートの感想を伺ったところ「ジェスチャーが健常者より大きいので、はじめは大げさくらいなジェスチャーは恥ずかしいと思う部分もあったのですが、だんだんコミュニケーションが図れるようになっていくうちに、自然と大きなジェスチャーをしている自分に気づきました」と思いもよらない自分の姿に充実した様子だ。

業務エントリーしたきっかけは「来週シニアツアー2次予選会に出場する前に、自分の甘さを知ろうと思って」といい、ゴルフのレベルアップのきっかけを探しているところだった。実際上手なプレーヤーの組についたので、なかなかテクニックという話ではないのですが、ゴルフの新しい世界を知ることができました。みなさんと一緒に過ごしていて、手話ができるといいのになあって(笑)。自然と会話したいですよね」としみじみ語る。障がい者ゴルフ大会は、未知のゴルフ世界を広げてくれている。

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手話が堪能な町島久晴会員は「グリーンスピードも速かったみたいですし、選手は楽しんでいたんじゃないかなって。デフリンピックも開催された影響もあって、少しずつ手話の理解も進んでいる印象もあります。選手層では若い選手も増えてきましたし、競技人口も増えてくるといいですね」と将来の共存社会に、明るい期待を寄せている。

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今回は大学ゴルフ部の学生10名もサポート役として大会を支えていただだき、早稲田大学ゴルフ部から5名が参加。

「社会貢献として、どのような形でゴルフを通じて参画するのかに興味がありました。いろんな方がとても熱心に全力で取り組んでいて、社会の幅広さを感じられたことが収穫です」と鈴木菜々美さんのコメントをはじめ「一生懸命に取り組む姿勢は、ゴルフに限らずスポーツの奥深さを改めて知った良い機会になりました」(藤田悠太郎さん)「ゴルフは難しいスポーツではあると思うのですが、障がいを抱えていても出来るということを知り、改めてゴルフは魅力あるスポーツだと確信しました」(榊原まひろさん)「やっぱりゴルフはこどもから大人まで一緒に楽しめる生涯スポーツ。ゴルフも含めスポーツは基本的な考え方として”楽しむ”ことを大事にしたいです」(金子佳矢さん)とそれぞれの目線で関心を示した。

ゴルフ部広報を務めているという渡部開(写真右)さんは「バーディを獲って、心から喜ばれている姿は、見ているこちらも思わず笑顔になりました。スポーツが人に与えるエネルギーの大きさを実感しました。サポートする立場でありながら、逆に多くのことを学ばせてもらい、ゴルフを通じて人とつながる喜びを改めて感じることができました」と嬉しさを語った。

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表彰スピーチでは「国際スポーツ振興協会様の協賛をいただき、開催に繋げられたことに感謝します。参加者のみなさまからは、プロゴルファーが同行するということに対しても良い評価をいただけて、我々PGAとしても嬉しい限りです」とPGA明神会長は謝意を表し、「今後も社会貢献活動のひとつとして継続し、ゴルフの素晴らしさを伝えていきたい」と決意を新たに心に刻んだ。

参加した選手、運営に携わったプロスタッフや、学生スタッフ全員にとっても、心に残る一日になっていれば望外の喜びになる。

◇ 大会最終成績はこちら>> ※PDFデータ


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