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シニアツアー

《いわさき白露シニア/1R》「どんな状況でも受け入れて…」田中秀道はイライラからの脱却を図り、2差5位タイの好発進

2025年11月21日
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19年間と長く苦しんできた極度のショットイップスを昨年克服し、今季は最終予選会15位に入って、シニアツアーに参戦している田中秀道。ツアーに限れば、18試合を戦った2010年のシーズン以来、実に15年ぶりのフル参戦となった。

この最終戦が田中にとって今季12試合目。3戦目の「スターツシニア」では単独首位発進を決めるなど、復活優勝も近いかに思われた。しかし、中盤戦はなかなか上位に食い込めず。10月に入ってから「福岡シニアオープン」で5位タイ、「コスモヘルスカップ」で9位タイと、調子を上げてきたが、「ISPS Handa シニアクラシック」は腰の痛みもあって休養に充てた。そして、賞金ランキング39位で鹿児島に乗り込んできた。

今シーズンは試行錯誤の連続だった。昨年は柔らかいシャフトに換えて、自分が頑張るのではなく、シャフトのしなりを生かすことで、ショットイップスから脱却することできた。それが今年に入ってだんだん振れてきたことで、なかなか合うシャフトのスペックが決まらない。

ましてや練習では良くても、試合の緊張した中ではうまくいかないこともある。「ツアー何年ぶりかという状況で、2試合連続で同じクラブを使ってないくらい試しながらやってきた」。シャフトの重さ、硬さ、長さ、鉛の張り方にいたるまで試行錯誤を繰り返してきた。

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スポット参戦はあっても、ツアーを転戦する生活には大きなブランクあった。だからこそ田中自身が「自分の試し合い」と設定したシーズン。
それが春先に良いスコアが出たことで、「シードは獲らなきゃ」と欲も出てきた。いつの間にか結果にこだわって「イラつきが前に出てきちゃった」と、あるべき自分を見失っていた。

「先週もう一回考えて、違ったと気付いた。最初の意識とズレてきている。スコアを求める前に、自分と向き合わなきゃと考えて入ってきた。今週何が起こっても来年につながると思っている」。

強風が吹いた今日の初日は3バーディ・ボギーなしの「69」で、3アンダー・5位タイの好発進。トップとは2打差で、賞金ランキング30位以内の賞金シードや、優勝も狙える好位置だ。「全部受け入れて、全部受け入れて、どんな状況でも受け入れて。グリーンは何回も外していますし、69で回った感覚はないです。内容はオーバーパーでもおかしくないけど、受け入れる体制がしっかりできていたから、結果アンダーパーになりました」。

確かにゴルフでは『タラ・レバ』はつきもの。それを言いだしたらキリがないのも事実だ。「もうちょっとパターが入ったらとか、100ヤードからグリーンに乗らなかったんだろうとか、“ちょっと”のことだと思うんです。けど全員がちょっとのせめぎ合いをしている。だから、これが入ればなと思った自分がダサいと思ったんです」。

イラついていた自分から脱却を図っていく。

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そして、この“ちょっと”にはもう1つの解釈があると考えている。「もうちょっとで優勝できるかもって、そこからがむちゃむちゃ壁が高いと思うんです。過去に何勝もしてきて、改めて思い出しました。もうちょっとは“かなり”あるし、もうちょっとは“そこ”にもある。両方あるなと思って今週は入ってきました」。

もちろん結果を完全に捨てたわけではない。「受け入れたら今日みたいなことが起こった。そこそこの順位で終わる今日を作っていけば、あわよくばの順位に行けるはず。それを狙っていくよりは受け入れて、結果を盛り込んでやる」。

周りの選手の結果次第ではあるが、賞金ランキング39位の田中が賞金シード30位圏内に入るためには、今大会でトップ5が必要となる。残り2日間も自分と向き合って戦っていく。


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