いよいよ明日から3日間の日程で、シニアツアーの今季最終戦「いわさき白露シニア」(11月21~23日、鹿児島県・いぶすきゴルフクラブ)が幕を開ける。現在、賞金王争いは宮本勝昌(53歳)とタマヌーン・スリロット(56歳・タイ)の2人に絞られている。
賞金ランキング1位の宮本(4964万7150円)と同2位のスリロット(4506万2107円)との差は458万5043円。今大会の優勝賞金は1000万円、単独2位は400万円であることから、どちらも優勝すると無条件で賞金王が決まる。逆にいえば、スリロットが初の賞金王を戴冠するには優勝するしかない。
3年連続の賞金王がかかる宮本は「スリロットが優勝したらスリロットだし、スリロットが2位以下だったら私でしょ? 最終的には獲れたらいいけど、まずは自分が優勝を目指してやるのが大前提になる」と、賞金王を少し意識しながらも、いつも通り“一戦必勝”を貫く考えだ。2023年には今大会を制して、初の賞金王を決めており、宮本が有利なのは間違いない。
また6月の「スターツシニア」を腰痛で欠場した片山晋呉(52歳)にとって、福岡シニア、コスモヘルスシニアでは直前で欠場を表明したこともあり、およそ半年ぶりの本格復帰戦となる。
最終戦のもうひとつの見どころは、賞金ランキング30位以内のシード権争い。同27位の宮瀬博文(54歳)から、35位の佐藤えいち(54歳)まで、およそ100万円の差の中に9人がひしめいている。単独11位で賞金100万円が得られるため、今大会の結果によっては大幅な入れ替えもありそうだ。
そして、昨年は宮本との最終日最終組の直接対決に勝って優勝した塚田好宣(56歳)。ディフェンディングチャンピオンでありながら、現在の賞金ランキングは47位(427万293円)とシード落ちの危機に瀕している。ボーダーとなる賞金ランキング30位の渡部光洋は656万8826円で、逆転シードには単独3位(220万円)では届かない。単独2位(400万円)、もしくは優勝が条件となりそうだ。
しかし、シニアツアー通算4勝で、デビューした19年から6年連続で賞金シードを維持してきた男が、今季はここまで15戦を戦ってトップ10が一度もない。いったい何が起こったのか? 「前半戦はあまりうまく練習ができていなかった。ボールは打っていたんですけどラウンドが足りなかったかな」と、本人は分析する。
その反省から後半戦は「ある程度仕上げて」行こうとした矢先、「円回内筋を断裂しちゃって」と右前腕の内側をさする。円回内筋は前腕を内側にひねる動作で使われる筋肉で、ゴルフスイングには欠かせない。
「原因は分からない」としながらも、9月の「日本シニアオープン」では前腕が赤黒く内出血して、スイングする度に痛みが走った。一番ひどいときには「アプローチとかでクラブを握るだけで痛くて大変でした。小さいポーチも(右腕では)持てなかった」という。
休養が一番の治療だったが、「大きな試合が続いてて、難しい判断でした」と、ちょうど9月は「日本シニアオープン」「日本プロシニア」「コマツオープン」と高額賞金の試合が続いていたため、痛みを堪えて試合に出続けた。1カ月で痛みは引いたものの、今度は試合に出続けた副反応が塚田に襲いかかる。
「痛いときに痛くないように自分で調整しながら打っていたので、痛みがなくなったらスイングが変な感じになっちゃった」。ようやく違和感なく打てるようになったのが「先週くらいから」。
ここから挽回しようにも、今季は1試合を残すのみ。厳しい戦いにも「どっちみち上位を目指して、行けるだけ行きたい」と本人は希望を持っている。最後は「おいしいお酒を飲んで頑張ります」と、酒飲みの塚田らしく明るく笑った。