エキシビジョン大会として「グランド」の部が3日間大会として開催され、60歳以上のシニアプロが14名出場し、熟練の技を競い合った。
最終ラウンドは崎山武志(62)と冨永浩(64)が6アンダー首位タイからスタート。4番で冨永がバーディを奪い崎山に1打リード。ところが5番から崎山が4連続バーディと怒涛の反撃で逆転。後半に入っても崎山は10、12番でバーディとスコアを伸ばしたが、冨永も負けじとバーディを獲りながら17番ホールを終え1打差まで追い上げる。
最終18番パー5ホール。崎山は11アンダー、冨永は10アンダーで二人の一騎打ち。ティーショットはふたりともフェアウェイへ。崎山のセカンドショットは左サイドバンカー、冨永のセカンドショットは右のラフ。冨永が先に打ったサードショットはピン横5メートルほどのバーディチャンス。
崎山は「相手はバーディを獲ると思うし、ボギーだけはだめ」とつぶやき、グリーンまでの距離が66ヤードのバンカーからハーフショットを打った。ボールはピン方向へ飛び、スピンで戻してピン横2メートルの距離に止まった。両者バーディチャンスにつけてパッティング勝負へ。
冨永のバーディパットはカップ手前から右に逸れて、カップインならずパー。崎山のバーディパットはスライスとラインを読み、ジャストタッチでバーディフィニッシュ。スコアを12アンダーまで伸ばして、グランドの優勝タイトルを獲得した。崎山の独走かと思われた最終ラウンドは、最終54ホール目まで気が抜けない熱い戦いだった。
「余裕はなかったです。冨永さんはパットもショットも良くて、バーディチャンスも外さずやっていましたから。ただ自分のペースでやろうというだけでした」と一日を振り返った。
それに加え、初日に67を出した際、崎山は「プロアマでブラインドゴルファーの選手と回った時に、楽しく欲をかかないで、旦那さんに言われた通りに奥さんが良いショットをしていました。だからこそ自分も出来るだけミスショットとか考えずにやってみようと」と新しい気持ちが芽生えた。
「その捉え方のおかげか、自分にとって良いゴルフがやり通せたと思います」と言い、最終ラウンドでもゆるぎない信念の下で戦えたことに明るい表情をみせた。
「来週、QT(シニア二次予選会)があるので、それに向けて今の気持ちを大事にやっていけば、結果に繋がると思います」。現在の賞金ランキングは75位で2次予選会免除になる50位以内を仕留めることはできなかったが、この優勝を励みに、次の試合で結果に繋がることを願うばかりだ。
ちなみに第2ラウンドが終了した際に、奥田靖己が「乗用カートで前の席に座るとショットがひどいから、前の席は後輩(冨永、崎山、秋葉)に譲る」と言っていた仲間内の席取りゲームの件は、最終ラウンドでだれが前の席に座ることになったのだろう。
崎山は「あ、あれはですね、4人が後ろに仲良く座る案もありましたが、前の席は僕が運転する役を買って出たので、運転席の隣はキャディさんが座ってくれました」とにやり。最後まで駆け引きを楽しむ姿は、シニアの包容力を感じさせるものだった。