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〈TCPシニア選手権/FR〉林稔がプレーオフを制し大会初優勝 42歳でプロテスト合格から"ティーチングプロシニア日本一"に輝く

2025年10月29日
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秋の爽やかな風が吹き抜ける中、ティーチングシニアプロの日本一を決定する最終ラウンドが静かに動き出した。

最終組は張り詰めた空気の中でティーオフする。前半を終え首位スタートの田辺正之が1つスコアを落とすと、首位とは1打差の足立智明が2つスコアを伸ばし逆転。首位と2打差2アンダースタートの林稔は、前半で1つスコアを伸ばしてジワリと足立に歩み寄っていた。

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林は後半もチャンスを狙い続けたが、アプローチで寄せてしのぐパターンでゲームを進めていく。足立が16番でバーディを獲り抜け出るかと思われたが、上り2ホールで連続ボギーにして優勝争いから脱落。林は最終ホールでも確実にパーオンし、7メートルのバーディパットは外したが、スコアを守ってホールアウト。通算3アンダーとし、先にホールアウトしていた柳沢とプレーオフになると、競技委員から告げられた。

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プレーオフ2ホール目。2オンに成功しバーディパットはピンまで2.5メートル。すでに、正規の36ホール目では7メートル、プレーオフ1ホール目で5メートルの同じラインを経験していたのだ。タッチを合わせてウィニングパットを沈めることに成功し、林が今年のティーチングシニアプロ・ナンバーワンのタイトルを獲得した。

優勝賞金100万円と来年の日本プロゴルフシニア選手権大会出場資格を獲得。優勝副賞として森ビル株式会社よりグランドハイアット東京ペア宿泊券、株式会社阪神交易より距離測定器Bushnel ピンシーカーXMジョルトが贈られた。

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そっとリベンジを誓った今年のティーチングプロシニア選手権。3年前の本大会デビュー戦では86位。2年前は8位。昨年大会では初日2位で結果4位と徐々にレベルをあげられていた。今年こそはとシニア最終予選会に挑戦したが45位。日本プロシニアでツアーデビューを果たしたが予選落ちと厳しい現実が立ちはだかる中で、今回のティーチングプロシニア大会に挑戦している。

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林はAONが活躍するトーナメントに憧れ、20歳の時にプロゴルファーを目指すと決意。必死にゴルフに取り組んだものの、80台の壁を破れずにゴルフから離れた時期もあった。しかし”クオリファイングトーナメント”という制度ができ、新しい選択にやる気がかりたてられた。しかしトーナメントを目指すだけでは信用もないとプロテストに4回挑戦し、42歳で念願のプロテストに合格。47歳の時にティーチングプロの資格も取得し、現在は神奈川県の上大岡にあるインドアで週1,2回レッスン活動を行っている。

1コマは50分、最大4名までのレッスンを1日10コマこなすというスケジュール。林がレッスンで特に取り組んでいることは「ゴルフは楽しくやってもらいたいので、型にはめない中で、キレイなフォームづくりを大事にしています」ということ。インドアでは球筋が見えない分、スイングは良く見える。映像で可視化しながら、先生と生徒が互いに良いものを求めて、スイングを創り上げていくのだという。

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「ゴルフのメカニズムは面白くできています。道具を使いますし、裏付けされた根拠もちゃんとありますよね。わかりやすい基礎知識を学んでもらいながら、満足度を高めていきたい」と願いがある。「同じことを教えるにも、伝え方や表現力ひとつで、だいぶ幅があります。私は丁寧に伝えることで、上達のサポートが出来ていれば嬉しい」と今のレッスン活動にも充実感が見える。

また11月には神奈川県の藤が丘にゴルフスクールの新店舗が開校し、レッスン先も増えるのは楽しみでならない。さらに「レッスンも充実していますが、試合にもチャレンジしたい。シニアになると時間も体調も限られてしまうので、最近はレッスンを抑えながら、試合出場に向けて準備しています」と未来を思い描いている。

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体幹を強化し、ストレッチを取り入れ、怪我の少ない体づくりを目指しているという林は「50歳を過ぎて、体と向き合う時間が増えてきていますから。もう、一晩寝たら治るということは無いので、どれだけ無理をせず、効率よく練習ができるかプロとしてしっかり向き合っていきたい」と話す。

さらに「この優勝で少しでも、プロとしての取り組みをアマチュアの方々に知ってもらえれば」と笑顔もこぼれる。林は競技とレッスンの両軸で更なる高みを目指していく。

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