最終ラウンドは、陽ざしもまばらで最高気温が17度までしか上がらず、冷たい北風が体に染みる一日。首位とは6打差からスタートした柳沢伸祐(59歳・TP-B)が1イーグル・4バーディ・1ボギーの67と大ブレーク。通算3アンダーで一気に38人を抜いてトップに浮上。二日間を通してのベストスコアを叩きだした。
18番パー4ホールを繰り返しで行い、1ホール目は両者パー。2ホール目。柳沢のティーショットは左のカート道に当たりラフへ。セカンドショットは立ちはだかる松を越えてグリーンピン奥10メートルの距離につける。下りのラインを読み切っていたが、ボールが思っているよりも転がらず、手前でショート。勝負は2.5メートルのバーディパットを沈めた林に軍配が上がった。
「優勝者を見届けに待っていたような感じだね」とプレーオフ後は悔しさを交えた口調で語る。柳沢がクラブハウスリーダーとして後続の順位更新を待った時間は最終組までの10組分。正規の最終ラウンド18ホールを終えてからおおよそ1時間30分が経過していた。
ハーフターンのスコアチェックではトップが”5アンダー”だったこともあり「だれか後半伸ばしてくるでしょ」と、行方を見守っていた。時間が経つにつれ体も冷え切り、プレーオフの準備を整えることも難しかった。それでも「待ち時間、やっぱり不安でしたよ。実際相手はしっかりとバーディだったし、ナイスプレーだと思います」と勝者を讃えた。
柳沢はシニアツアーに参戦してから10年目を迎える。1998年に後楽園カップ(ACNツアー)で優勝、シニアでは2017年にISPS・HANDA CUP・フィランスロピーシニアトーナメント、2018年には広島シニアゴルフトーナメント、そして2020年に ISPS HANDA コロナに喝!!シニアトーナメントでシニア3勝目を挙げているベテランプレーヤーである。
「ゴルフレッスンには普遍的な理論も、もちろん知識として必要です。さらに最新のテクノロジーを利用した分析や研究といったものも進んでいますし、今後の講習にぜひ取り入れたいですね」と会員制インドアのヘッドプロとしてレッスンに携わっているからこそ研究が大事だと力説する。
現在はプロゴルフ協会の神奈川地区理事を務め、地区で活躍するプロゴルファーを取りまとめている。「神奈川はティーチングプロが400名、トーナメントプロが100名ほど。だからレッスンの需要は当然高くなります。お客様の声をヒアリングしながら、プロも技術や知識をブラッシュアップしていかないとね」とまずは地区の声を集め、協会全体の活性化を目指しているところ。
さらに柳沢は「来年60歳でグランドシニア入りなんです。シニアツアーのシード復活も諦めてない。ここ2、3年体の調子もいいしね、頑張りたい」と戦いを終えて言葉少なに、口元を引き締めて前を見据えていた。