PGAメンバー入りしてから30年目を迎える足立智明(54)がティーチングプロシニア選手権初日は首位と1打差の単独2位につけている。アテストを終えて「上手くいきましたね」とすがすがしい表情をみせている。
足立は大会前日の練習で「こんなに当たらないのは久しぶり」とショットが絶不調。普段はラウンド後に練習しないのだが、今回は”重症”だったのか練習場に直行したという。
出球に困ったときは「スライスっぽく打って、謙虚に手前から手前からとマネジメントする」という。しかし今回の練習ラウンドでは”スライス”っぽく打とうとしても、左にしか行かなくなってしまい「どうやって“スライス”打てばいいんだろう」という不安な状況に陥っていた。結局練習場では答えは出ないまま、大会当日を迎えてしまった。
第1ラウンドは10番からスタート。ティーショットはフェアウェイへ。残り160ヤードから7番アイアンでピン手前5メートルからバーディパットを沈めて好スタートを切った。
ところが、ショットは不安定なまま13,14番で連続ボギーに。16番パー3では前の組がいたこともあり一息つけるタイミングだった。「スイングイメージを変えてみよう」と、思いつきではあったが球はまっすぐ行きだしたのだ。全体的にはミドルパットが入ってくれたりと、最後まで我慢を続けて流れを切らさずに行けることに成功。パーディ6つ、ボギー3つの3アンダー69をマークして2位と優勝争いが出来る位置に着けられた。
「今日はラッキーが多めでした。ぴったりつけたバーディというのはほとんど無くて、ミドルパットが入ってくれたことで流れができました。ただ、ショットイメージの変更は付け焼刃のような感じだったので、今から練習場で調整して、明日は自信をもってショットしたい」と足立は前を向いた。
普段は千葉県にあるおゆみ野ゴルフガーデンで、足立は週3回レッスンをしている。「去年は出場資格はあったのに、腰を痛めたりと準備不足で欠場したんですね。今年も実は出場に前向きではなかったのです」と本音もぽろり。ところが「週に1度ラウンドレッスンを診ているお客さんが応援してくれていて、出場を後押ししてくれたのです。だから、その方のエールをうけて、今回は挑戦してみようかなって思って、予選会から出場を決めたのです」と理由を明かしている。
足立はこれまでレギュラー12試合、シニア3試合に出場を果たし、厳しい成績ではあるものの、出場を目指すことには意義があるという思いで、練習に取り組んできている。
また日大ゴルフ部の後輩でもある現在シニア賞金ランキング1位の宮本勝昌とは練習をする仲だといい「いいイメージをみせてもらっているし、刺激になる。学生のときから不思議な縁のある関係で、楽しくご一緒させていただいてます」と笑顔を見せる。
50歳から夢を描いていたシニアツアーへの参戦だったが、いざその歳を迎えると、体の故障や家族の都合などもあり、活動に制限が出ていたことも確か。6年前に移行講習会を受けティーチングプロの資格を取得したこともあり、レッスン活動を中心とした生活を過ごしている。今、全力で向き合っているこの「ティーチングプロシニア選手権」という舞台で、できることであれば、最高の結果を出してみたいのが足立の願いである。