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シニアツアー

【ファンケルクラシック/1R】「65なんていつ以来だ?」髙橋竜彦がシニア入り2年目で初の単独首位発進!

2025年10月17日
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レギュラーツアーでは国内メジャー「UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ」を含む2勝を挙げている髙橋竜彦(51)だが、昨年シニアデビューからちょうど20試合に出場して、優勝どころかトップ10入りは前週の「トラストグループカップ 佐世保シニアオープン」の1度だけ。それが今大会の初日は、2番で3パットのボギーが先に来るも、終わってみれば8バーディ・1ボギーの「65」を叩き出し、7アンダー・単独首位で2日目に進む。

ラウンド後に取材エリアに現れると「こんなインタビューを受けるのは久しぶりだし、65って記憶にない。65なんていつ以来だろ?」と第一声を放った。この「65」はシニアツアーではベストスコア。レギュラーツアー時代は2015年の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」(6954ヤード・パー72)の2日目に記録しており、およそ10年ぶり。また、髙橋が首位または首位タイで初日を終えるのは、2008年の「中日クラウンズ」以来、およそ17年ぶりとなる。

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1974年生まれの高橋は名門・日本大学を出てプロ転向。切れ味鋭いアイアンショットを武器に頭角を現し、05年、06年とレギュラーツアーで1勝ずつを上げた髙橋は、極度のドライバーの不振から成績を下げていく。ツアー選手権の5年シードが11年に切れると、翌12年以降は下部のABEMAツアーが主戦場となり、なかなかレギュラーツアーには出場できなくなった。

3年前からシニアツアー入りを見据えて、日大の1年後輩でツアープロコーチの辻村明志のもとで、スイング改造に取り組んできた。ところが、「去年くらいからまたドライバーがおかしくなって、今年もショットが上手くいかず」と、レギュラーツアーから続く黒い影が、シニア入りしてからも髙橋のゴルフを蝕んでいた。

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現在の賞金ランキングはシードが得られる30位圏外の53位。9月の「日本プロシニアゴルフ選手権」では、初日の出だし5ホールで3オーバーとつまづいたが、そこから盛り返してトータル1アンダー・28位タイ。「その辺からちょっとゲームが少しできるようになってきた」と調子を上げていく。続く「コマツオープン」では34位タイ、「トラストグループカップ 佐世保シニアオープン」では4位タイに入り、そして今週はついに、シニアツアーで初めてトップに立った。

好調の要因はゴルフの意識。ずっとドライバーに悩み続けてきたが、「あんまりそこにとらわれなくなったというか、そこだけがゴルフじゃないという風に少しずつできてきた」という。その結果として、「今日はアイアンがすごくキレていて良かったです」と、ドライバーで同組の増田伸洋と手嶋多一に大きく置いていかれても、レギュラーツアーで強かった頃のアイアンでスコアを伸ばしていった。

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髙橋の横には毎試合帯同しているプロゴルファーの妻・牛渡葉月がいる。今シーズンは辻村コーチと、レギュラーツアー時代にタッグを組んだことがあるプロキャディの山根彰さんが1度ずつキャディを務めたが、それ以外の8試合は牛渡が電動カートにバッグを積んで夫をサポート。「一緒にいると、何て言うのかな…家にいるようで、何でも身の回りのことをやってくれるし、僕にとってはすごく楽です」。そんな最愛の妻に久しぶりに会心のゴルフを見せることができて「本当に良かった」と夫はしみじみいう。

また、密かに「師匠」と呼ぶ選手の存在も、髙橋のやる気スイッチを押した。「今日は途中でボードを見て、倉本さんが良かったので『明日一緒に回りたい』と思った」。倉本昌弘(70)は日大の大先輩で、シニアツアーでは「練習ラウンドをいつもやってもらったり、プライベートでもお世話になっている」。この初日の夜も一緒に食事をする予定だという。

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一時は6アンダーでトップに立っていた倉本だったが、5アンダー・3位タイで初日のラウンドを終え、他の選手たちが伸ばしたこともあって、2日目の組み合わせで倉本は髙橋の最終組の1つ前。残念ながら同組のラウンドは実現しなかった。

髙橋には06年以来となるツアー優勝に期待がかかるが、「今日みたいなゴルフが毎日できると思わないけど、一生懸命いまやっていることを継続してやれればいいかなと思っています」と、本人は必要以上に肩に力は入れずにプレーしていく考えだ。前の組で回る師匠と、いつも隣にいる妻の前で、いまできる全力を尽くして残り2日を戦う。