
最終ラウンドは首位と4打差の2アンダー9位タイからスタートした海老根文博が、あがり3ホールの3連続バーディを含む7バーディ、1ボギーの66を叩きだし猛追。この日ベストスコアをマークしたものの首位の山下には2打及ばず初優勝はお預けとなったが、出来には「満足です、100点です」と達成感をにじませた。
海老根はシニアルーキーの50歳。昨年のファイナルQTをトップ通過し、今季のレギュラーツアー出場資格を獲得。スケジュールをみながら、レギュラーとシニアの両ツアーを掛け持ちをする中で躍進している。
シニアツアーでは7月の倉本招待イーグルカップで最終日に66をマークして2位に着くと、その次に出場した9月の日本シニアオープンでは最終日にスコアを3つ伸ばして2位タイ。さらに翌週の日本プロシニアでも最終日に65をマークして10位から3位とジャンプアップし、最終ラウンドで粘りの強さを光らせている。

強さの秘訣を聞いてみると「精神状態を安定させる努力を…しました(笑)」と、一見すると落ち着いてプレーしているようだが、それは試合で感じるプレッシャーをあえて抑えているのだ。
海老根は大きなトラブルも引き起こさず、無難にゲーム運びを目指すには「メンタルの波を立てない」ことを常に心掛けていて、それにはワンショットごとに必要なタスクでもあるという。
パッティングについては本人曰く「おっかなびっくりやってます。いつも不安の塊です」とこぼしつつも「考えすぎないのもだめで、動かなくなっちゃいますし。だから頭の中では、数字をとなえながら打ってます」とオリジナルの作戦を用意している。

シニアツアーにはこれまで7戦参加しているが、そろそろ馴染めてきた感じ?と聞くと「みなさん、ほんとに和気あいあいとやっていて、僕はその雰囲気を脇から聞いて、今は楽しいですし、楽しんでます」と”にっこり”と返事が返ってきた。先輩たちには遠慮しつつ、心のなかでは自分なりにシニアツアーの雰囲気を楽しんでいるということだ。
一方、試合では切れのあるショットと正確なパットでスコアを量産する勢いのある若手としても一目を置かれており、今後の動向からも目を離せない選手のひとりである。