
75歳でシニアツアーを戦うリーダー髙橋勝成を筆頭とする“チーム髙橋”のメンバー、中山正芳(57)が5バーディ・1ボギーの68をマーク、2位タイと初日好スタートを切った。
北海道を活動拠点とする中山は、3日前に佐世保入り。宿泊先のホテルで冷蔵庫に手を伸ばした瞬間「ピキッときて、そこから立てなくなっちゃいました。もう、ほふく前進しかできなくて」と振り返る。これまでギックリ腰を発症したときに対処していたアイシングを施してみたというが「それが余計ダメになってしまって、近所の整形外科探してたどりついて、ブロック注射2本打ってもらってもだめで」と大会に出場すら絶望的な状況に追い込まれていた。
そこでチームリーダーの髙橋も治療に行くという、福岡にある施術院の先生を訪ねる決意をし、痛みをこらえながら片道2時間を自力で運転。診察をしてもらったところ「骨が曲がっていて、それを無理して炎症をおこしていたみたい。先生に骨を戻してもらって、10分くらいかな。歩けるようにもなったし、なんとかクラブも振れるくらいまでになったんですよ」と感激は止まない。

だからこそ、中山にとっては大会当日に初めてコース入り。クラブハウスが改装されていたことにも感激し、気持ち新たに試合に挑むことになったのだ。
「出場できるだけラッキー」と感じながらイン10番からスタートし、14番でボギーにしたが、ショットは曲がらず「振れないからトーンと打つ感じ。アイアンは曲がらないし距離も落ちていなかった」と集中力も高まっていった。後半に入ると2番から3連続バーディ、さらに6,7番でも連続でバーディとスコアを伸ばし、上がってみれば68をマークし、優勝争いの位置につくことができている。

中山は2020年の日本プロシニアで優勝して以降、チーム髙橋の仲間が活躍する中で上位争いに絡めていないもどかしい時間を過ごしてきている。“優勝”という言葉こそ出てこないが、中山は「ゴルフってこういうこともある。面白いじゃないですか。何が起こるかわからない。昨日まで試合を欠場して北海道に帰ろうと思っていたくらいなのに、今日はゴルフができている。これもチームのおかげしかない」と、ようやく苦悩から解放された中山は、トレードマークの笑顔を見せた。
最後に「こうやって怪我してみて…髙橋さんのすごさを改めて実感しています。プロとしてゴルフを続けること、成績を出すこと、挑戦することすべてすごいです」と言葉をかみしめていた。
