
宮本勝昌の優勝で幕を閉じた今年の「コマツオープン」。その裏でシード返り咲きを喜んでいる選手がいた。最終日はトータル6アンダー・11位タイからスタートし、バックナインで5つ伸ばす猛チャージで、トータル12アンダー・3位タイに食い込んだ桑原克典(56)だ。
昨シーズンは賞金ランキング40位で、同30位以内のシード権を失っており、今季は最終予選会25位で出場権を掴んでツアーを戦っていた。今大会で3位タイに入ったことで、294万円を加算して賞金ランキング12位(802万6088円)に浮上。今季6戦を残して、2年ぶりの賞金シード返り咲きを果たした。「うれしいというか、『やったー!』という感じです。来年も試合に出られるのはありがたいですね」と喜びを語った。

愛知県を拠点とする桑原は、中部プロゴルフ協会の会長を務めており、今大会が開催された石川県を含む北陸3県も中部プロゴルフ協会に含まれている。「知り合いもけっこういるし、スタッフも知り合いだし、ここのゴルフ場もお世話になっている。ギャラリーも喜んでくれるから、いいプレーをみせたかった」。大会を盛り上げようと、最終日はコマツカラーのブルーのパンツをチョイスした。

準地元ともいえる石川県でギャラリーの声援を背に受け、爽やかな笑顔を浮かべながら気持ち良くプレーしたことが、今季最高の成績とシードをもたらしたようだ。「コマツは多分合っているんです」と本人が言うように、今大会には6度出場して、4度トップ10に入っており、コースとの相性はいい。
また、シニアツアーの“グルメ王”と呼ばれる桑原は、石川県の海の幸や温泉を毎年楽しんでいる。ご当地の話題を振ると「いつも山代温泉に泊まります。今週は4日間のうち3回寿司を食べました。北陸は寿司ですね」と口がより滑らかに回り出す。

「今の時期は甘エビです。めちゃくちゃ美味しいですよ。もう少ししたらカニも美味しい。橋立漁港で獲れる加能ガニとか?香箱ガニとか?」と次々と単語が飛び出す。ちなみに『加能ガニ』と『香箱ガニ』は石川県で水揚げされるズワイガニのブランドで、『加能ガニ』はオス、『香箱ガニ』はメスを指す。どちらも毎年11月に漁が解禁される。
そして温泉も忘れてはならない。朝晩と2回入るのが桑原のルーティン。そして、「試合中はやらないですけど、練習日とかプロアマのときはお湯と水風呂に交互に入ります」と語る。温冷交代浴によって“整う”のもルーティンの1つだ。ゴルフでツアーを盛り上げ、ご当地の食と文化を楽しむ桑原の旅は来週も、そして来年以降も続いていく。
