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シニアツアー

【コマツオープン/FR】前日OB2発の宮本勝昌が「横滑り」を修正し、シニアデビューの地で9勝目

2025年10月04日
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「コマツオープン」最終日は、朝から雨が降ったり止んだりの不安定な天候の中で行われ、トップと1打差のトータル10アンダー・3位タイからスタートした宮本勝昌(53)が、7バーディ・ボギーなしの「65」をマーク。トーナメントレコードに並ぶトータル17アンダーでシニアツアー今季3勝目、通算9勝目を挙げた。

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トータル13アンダーで単独2位に入ったのは飯島宏明(54)。最終日最終組で前半はスコアを4つ伸ばして宮本に並んでいたが、後半は伸ばせず。シニア初Vはまたもお預けとなり、これで飯島は6度目の2位。ホールアウト後は「最終日も伸ばせているのでしょうがない。自分が自滅したわけではないので、いいプレーができたと思います。宮本選手がすごかった」と勝者を称えた。

トータル12アンダー・3位には、バックナインで5つのバーディを奪う猛チャージをみせた桑原克典(56)と、前年覇者の平塚哲二(53)が入り、トータル11アンダー・5位には、2週前の「日本シニアオープン」を制したタマヌーン・スリロット(タイ・56)が続いた。2日目を終えてトータル11アンダーで首位タイに立っていた横田真一と岩本高志はともにショットが不安定でスコアを落とし、横田はトータル9アンダー・6位タイ、岩本はトータル8アンダー・8位タイで大会を終えている。

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終わってみれば2位に4打差をつける圧勝劇。それでも宮本は思い通りにならないショットに苦しんでいた。初日は8アンダーで単独トップに立つも、2日目は2つのOBで3位タイに後退。理想とするストレート系の弾道を諦め、スイングのスピードを落とし、大きめに曲がるフェードを打つ「苦肉の策」で戦っていた。それが最終日の朝の練習場では「雰囲気が良かった」ため、「もう一回真っすぐにトライしようかな」と、ストレート系に戻す決断をする。

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初日と2日目に打っていたショットの弾道は宮本曰く「横滑り」。それはグリーン上でも「打った瞬間に出だしがズレる。パターも滑っているような感覚があった」と、悪影響を及ぼしていたのだ。

特に2日目は、いつもは入ってもおかしくない距離がカップにもかすらずに外れていくシーンが目立った。最終日の朝、急きょショットを真っすぐに修正したことで、本来得意としているパットの調子が戻る。

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前半4つ伸ばして折り返すと、12番では8メートルのパーパットを決めてガッツポーズが飛び出す。「いい流れが来るきっかけになった」と、続く13番では5メートル、14番では3メートル、15番では7メートルを沈めて3連続バーディ。

「いい構えができて、いいストロークができていたので、フィーリングがすごく良かった」。

これで一気に後続を引き離し、優勝を決定づけた。このときボードを見た飯島は「2位を確実に狙いにいかないとダメだ」と優勝を諦めている。

このコマツオープンは宮本にとって、3年前の2022年にシニアデビューした大会でもある。「緊張したのは今でも覚えていますし、ここからシニアツアーの旅が始まったな、というのがあるので、やっぱり嬉しいですね」と白い歯をみせる。

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「ずっと欲しかった。夢の1つが叶いました」。というのは、シニアデビュー戦のときから宮本が狙っていた優勝副賞のコマツのミニショベル。「足が両方あって、前にあって、横にもあって、ガンダム世代にはたまらない」と、優勝後の記念撮影でミニショベルに乗った感想を興奮気味に話す。どうやらミニショベルを操作するペダルやレバーの多さがツボらしい。

「さっき聞いたら免許は3日間で取れるそうで、基本暇ですから免許取りに行きますよ」と、ミニショベルを使う気は満々だ。

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開幕前は3位だった賞金ランキングも、優勝賞金1500万円を加えて、定位置のトップに躍り出た。このままの順位でシーズンを終えると、例年通りであれば、来シーズンの「全米プロシニア」「全米シニア」「全英シニア」の海外メジャー3戦の出場権が手に入る。宮本は、そこで上位に入ってポイントを稼ぎ、米シニアツアー(PGAツアー・チャンピオンズ)参戦を目論む。今年からQT(予選会)が廃止されたため、メジャーで好成績を残すしか道はない。昨年は藤田寛之が全米シニアで2位に入ったのが足がかりに、今季の米シニアフル参戦の権利を掴んでいる。

「アメリカで頑張れるのは55歳までだと思っているので、来年がラストチャンスだと思うので頑張りたい。厳しい道のりではありますけど、藤田さんにできるなら俺にもできるだろうっていうくらいの気持ちです」。メジャー3戦でポイントを稼いでシーズン終盤に行われるプレーオフシリーズに進み、さらにそこで上位に食い込むことで、55歳になる2027年に米シニアツアー転戦をイメージしている。

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大きな夢を叶えるために、日本のシニアツアーで1円でも多く稼いで、後続を引き離したいところだが、次週の長崎で行われる「トラストグループカップ 佐世保シニアオープン」(10月11~12日・佐世保カントリー倶楽部)は欠場するという。高校2年生の次男、悠生(ゆうき)さんが語学留学しているオーストラリアに、妻と2人で会いに行く計画を立てているのだ。

「3人でゴールドコーストに行ったり、シドニーに行ったり、2泊3日の小旅行。オーストラリアをグルグル回りたいと思っています。たまたま来週の試合と重なったのでお休みします」。

オーストラリアでゴルフをする予定はないため、クラブは持っていかない。「不安だけどしょうがない」と、約1週間はボールを打たないことになる。家族とのリフレッシュを挟み、その翌週は「ファンケルクラシック」(10月17~19日・裾野カンツリー倶楽部)で3連覇に挑む。

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