
小松カントリークラブで勝つにはティショットが重要だ。
片方がOBでもう片方が崖のようなホールが多く、ティショットの狙い所が狭い。この2日目は単独トップでスタートした宮本勝昌(53)が1番と15番でティショットをOBにして3位タイに後退。途中までトータル12アンダーまで伸ばして独走態勢を築こうとしていた崔虎星(韓国・52)が、最終18番パー5で左のOBゾーンに打ち込み、トータル10アンダーに。ティショットのミスで一気に順位が入れ替わった。
そんな今大会を「チャンス」と感じているのは、“元祖”曲がらない男、井戸木鴻樹だ。レギュラーツアー時代には正確なドライバーショットを武器に2勝を挙げ、2013年には海外メジャー「全米プロシニア」も制し、その精度が世界にも通用することを証明した。事実、レギュラーツアーではフェアウェイキープ率のタイトルを7度も獲得している。

秋葉真一(60)が「ティショットをビビり始めたらすごく狭く感じる」と苦手意識を持っている小松CCも、井戸木にとっては「回りやすい好きなコースの中に入っている」と笑顔。その言葉の通り、21年大会を制していて、今週も2日目を終えてトータル7アンダー・8位タイの好位置につけている。
井戸木は『海外シニアメジャー大会優勝者』の権利で国内シニアツアーの永久シードを持つ。たとえ今年の成績が悪くても、来年以降もシニアツアーへの出場権が約束されているのだ。それでも井戸木にとって最大の目標は賞金ランキング30位以内の「賞金シードに入ること」。21年シーズンに賞金ランキング3位にはいったのを最後に、もう3年間30位以内から遠ざかっている。

(9月に行われた日本グランドシニア選手権優勝)
60歳以上のプロゴルファー日本一を競う今年9月の「日本プロゴルフグランドシニア選手権大会」で優勝したときには、「自力で30位にカムバックできるように、それを考えてやっている」と力強く話した。井戸木の現在の獲得賞金は171万1100円の63位で、30位までは200万円以上の開きがある。しかし、今週の賞金総額はシニアツアーで2番目に高いため、単独4位(252万円)以内に入れば、一気にシード圏内にジャンプアップすることも可能だ。
明日の最終日に向けては「上もけっこう伸ばすと思うんですけど、それについていきたい。今日みたいなゴルフであとはパッティングがどれだけ入ってくるか。10個くらいバーディ取りたいね(笑)。そのくらいの気持ちでいけたらいいかな」と威勢のいい言葉も飛び出した。絶対の自信を持つドライバーショットでバーディ量産し、そして賞金シード返り咲きを狙う。
