
最終ラウンドは 3バーディ・ノーボギーの69で回り、じわりと首位を追い詰めながら最終18番までゲームの行方を面白くしたのが、シニアルーキーの海老根文博(50)である。
14番でスリロットがダブルボギーを叩いたことで、後を追っていた海老根、増田との差は2つになり、スリロットがスコアを落とすか、それとも後続がバーディ以上を取れるか。終盤の駆け引きに注目が集まった。

しかしスリロットの盤石なゲーム運びにスコアは動かない。
海老根は17番パー3で、バンカーから3メートルほどのパーパットを沈め、パーセーブに成功。自然とでたガッツポーツに大勢のギャラリーもエールを送り、勝負は最終ホールの”ミラクル”バーディ以上に期待が寄せられた。
18番パー5ホールは、帽子が吹き飛ばされるほど、強烈なアゲンストの風が吹く中で、海老根はティーショットを放った。フェアウェイからのセカンドショットは、地を這うようなショットを見せ、ボールはグリーン手前約60ヤードまで運ぶことに成功。

ピンを狙ったサードショットはピン奥へ転がり、イーグルとはならず。
期待がかかる2.5メートルのバーディパットは、わずかにカップを外れパーが確定。「あとちょっとでした。大会を盛り上げられるかなと思いましたけど、詰めが甘かったです」と肩を落とした。
それでも、ナショナルオープンならではの難コースセッティングの中で、連日のアンダーパーをやり切り、2位という成績については「レギュラーツアーではなく、こちらに来て、まぁ上出来かなと思います」と少しだけ自分を讃えた様子。

「ただ2打差をわかっていて、余計に意識しちゃったのかなと。…そうですね、バーディを獲れるところに寄せられなかったのが、悔いが残ります。内容には反省するところが多いです」。海老根は後味の悪さはあるが、”ここまでできた”という手ごたえもある。
海老根は今年、レギュラーQTをトップで通過しツアーフル参戦を目指しながら、シニアでも戦うという超ハードスケジュールをこなしているが「ちょっと練習して、また、出直しますね」と熱い戦い後はようやく笑顔をみせ、シニアルーキーは密かに活躍を誓った。
