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【日本グランドシニアユニテックス杯/FR】【日本グランドシニアユニテックス杯/最終日】井戸木鴻樹が9ホールに短縮された最終日に3打差を大逆転! 勝因は“ショットの修正”と“52度の転がし”

2025年09月05日
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「日本プロゴルフグランドシニア選手権ユニテックスカップ2025」の全日程が終了。最終日は悪天候によりスタートが遅れ、インの9ホールに短縮されたことで、初日にビッグスコアを出した7アンダー・トップのグレゴリー・マイヤー(63歳)と、6アンダー・2位の高見和宏(65歳)が有利かに思われた。4アンダーからスタートした井戸木鴻樹(63歳)が、「ゴルフは何が起こるか分からない」と、9ホールで3打差を見事にひっくり返し、初めての日本タイトルを獲得した。

トータル7アンダー・2位には高見、トータル6アンダー・3位タイには久保勝美(62歳)、崎山武志(62歳)、冨永浩(64歳)の3人が続いた。初日に首位だったマイヤーは、昨年覇者の東聡(64歳)と並び6位タイで大会を終えている。

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井戸木の勝因はショットの修正“52度の転がしだろう。井戸木はレギュラーツアー時代、フェアウェイキープ率のタイトルを7度獲得した元祖曲がらない男。初日からドライバーの調子が良かったが、「アイアンがもうひとつ」でバーディチャンスが少なく伸ばしきれなかった。

最終日は正規のスタートが950分だったが、悪天候の影響で3時間30分遅れ(1320分スタート)。その時間を利用してコース近くの練習場に行き、「ちょっとクラブが遅れて体が泳いでいる感じがあったので、ヘッドをしっかり走らせるイメージでやったら、大きなミスはないというのがあった」と修正に努めた。すると、13番パー4では6番アイアンで80センチにつけるスーパーショットでバーディ。続く14番パー4でも、7番ウッドで1メートルにつけてバーディを奪った。このショットには同組のマイヤーが思わず「カンペキ」と漏らしたほどだ。

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もうひとつは52度のウェッジを使った転がし。「練習日からアプローチは良かったんです。練習日に1回、昨日(初日)1回、今日1回チップインしている。このコースはグリーンが柔らかいので、52度でフック回転気味のアプローチでタッチが出ていた」。同組の選手たちがアプローチで止まりすぎて大きくショートする一方で、井戸木は12番パー4でこの日最初のバーディをチップインで沈めると、15番パー5ではピンチを迎えるもアプローチを30センチに寄せて難なくパー。17番パー5では3打目を60センチに寄せてバーディを奪った。

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番を終えて時点で、トータル8アンダーで井戸木が単独トップに立つ。1打差のトータル7アンダーに高見、15番パー5で痛恨のOBを出したマイヤーはトータル6アンダーに後退していた。そして、最終18番パー4では、あわやショット・イン・イーグルかという2打目でピンに絡め、高見のバーディパットが外れたことで勝利を確信。きっちり2パットで沈めて勝利を手にした。

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2013年には海外シニアメジャーの「全米プロシニア」を制している井戸木だが、意外にも日本タイトル獲得は初めて。「やっぱり日本タイトルですから気分は良いです。こんな年で日本タイトルを獲れると思ってなかったですから、正直いってうれしいです」と63歳の笑顔がはじけた。

この優勝でシーズンが終わったわけではない。9月は「日本シニアオープン」、「日本プロゴルフシニア」と大きな試合が続くなど、いよいよシニアツアーは後半戦に突入する。井戸木は『海外シニアメジャー大会の優勝者』の資格で、シニアツアーの永久シードを持つが、2021年に3勝を挙げたのを最後に、ツアー勝利からも、賞金ランキング30位以内のシードからも遠ざかっている。

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現在のシニアツアーは23年、24年と宮本勝昌(53歳)が連続で賞金王に輝き、今年も賞金ランキングトップに君臨する。「コースによって宮本にも勝てるチャンスはある。広くて長いコースでは歯が立たないけど、佐世保(トラストグループカップ 佐世保シニアオープン)のコースとか、コマツオープンのコースはまだチャンスがあると思います」。正確なティショットが要求される今大会のような舞台なら、優勝のチャンスはあると考えている。

井戸木の賞金ランキングは現在53位で、シード圏内となる30位の選手とは約130万円の開きがある。「一番の目標は30位以内のシードに入ること。(永久)シードはもらっているんですけど、自力で入れるように集中して頑張っているところです」。昨年は2006年以来、18年ぶりに60歳以上の賞金シード選手がいないシーズンとなった。シーズン後半戦は、井戸木を含む60代の選手たちのシード返り咲きにも注目が集まる。

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