
「1位通過できてすごいうれしいですし、本当に支えてもらっている家族だったり、スポンサーさんだったり、いろんな方々に早く報告したい」。24歳の出利葉太一郎が、2位に4打差をつけるトータル14アンダーで、プロテスト“一発合格”を果たした。
首位タイで迎えた最終日は、朝から最終組のホールアウトまで強い雨が降り続き、この日アンダーパーで回ったのは123名のうちたったの21人と難コンディションとなった。「僕、飛ぶんですけど、雨の影響で滑ってしまって曲がるリスクが高いのであまり振れなかった。きのうまでとはセカンド(2打目)の距離が全く違かったので、グリーンセンターを狙って、あわよくばバーディを狙っていきました」と振り返る。スタート前の練習でも、あまり振っていない姿が見受けられた。
これまでのゴルフは、どんなときでも攻めのゴルフをしてきていたが「同じゴルフをしていたら(スコアが)崩れたかもしれない。(きょうは)カッパを着て、少し寒くなっていたけど、距離感のコントロールができるようになったので、それはすごいよかった。少し成長を感じる」と変化を実感。
4日間を振り返ると「初日、2日目は猛暑で、3日目は涼しくて、きょうは大雨で、本当に試されているような感覚で、辛かったんですけど、最後まで頑張れてすごく良かった」と話し、達成感に溢れた表情は清々しい。

しかし、すべてに納得しているわけではない。「伸ばせたのはよかったけど、これがレギュラーツアーやチャレンジだったらと考えると、『どの位置にいるんだろう…』と。もちろん。1位で通過できたことはすごくうれしいですし、優勝でもあるので、そこは褒めたいですけど、まだまだ満足はしていない。もっとバーディが取れたはず、もっとやれたはず。そこはすごい勉強になって、練習の課題がすごく見つかりました」と手応えを感じつつも、課題を得て今後の糧につなげていく。
出利葉は、2023年から日本ゴルフツアー機構(JGTO)のメンバーとしてツアーに参戦し、今季はQT55位の資格で下部のACNツアーを主戦場としながら、レギュラーツアーにも出場している。賞金ランキングは現在56位で、第1回リランキングは上位での通過が見込めており、現在の位置ならシード獲得も見えるが、プロテストを受験した。

「本当はここ(プロテスト)にいること自体悔しいし、スコアもずば抜けていないことが悔しい。俺はこんなもんじゃない。ここでやっている場合じゃない」。そんな悔しさと覚悟を胸に、挑んでいた。3日目を終えたときには「差をつけて、トップ通過したい」と言っていたが、2位に4打差をつけ、有言実行させた。
自身の次戦は、来週の国内男子下部のACNツアー「ケーダッシュセカンドチャレンジカップ in 茨城」(9月10~12日)に出場予定で、その翌週のレギュラーツアー「ANAオープンゴルフトーナメント」(9月18~21日)、「バンテリン東海クラシック」(10月2~5日)と試合を控えている。「試合に出られることはうれしいこと。そこでも結果を残したい」と意気込みを示した。

そして、以前から「アメリカで戦いたい」と言っていた出利葉は、「去年QTが悪くてシードを持ってない立場なので、いまが行きやすい。守るものがない。すべて取りに行く段階なので、いまのうちに行ける。自分に投資というか、そこまで稼いで、その分(米予選会に)行きたいというのはずっと考えていた」という考えがあるなかで、今年の国内メジャーの「日本オープン」の予選会を敗退したこともあり、同メジャーの週に行われる、米国男子ツアーの来季出場権をかけて争われる予選会(10月14~17日)に初挑戦する。
「絶対に通る気では行きたい。でも、向こうの選手よりは、言語もそうだし、コースの状況も、文化とかも全部が違うので、アウェイ感でスタートする。今から自分でやるってなると、考えるだけですごいタフだなって思いますけど、それはそれですごい楽しみだし、少し不安もありますが、早く世界を見てみたい。自分との差を肌で感じたい」
ゴルフキャリアのなかで「通過点」となるプロテストを合格し、また新しい道に挑戦していく。24歳のこれからが楽しみで仕方ない。
