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【日本ゴールドシニアユニテックス杯/前日】みんなとゴルフを続けられることが目標」 昨年全休した飯合肇が、日本タイトルの舞台に戻ってきた!

2025年09月03日
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4日から2日間の日程で、「日本プロゴルフグランドゴールドシニア選手権大会 ユニテックスカップ2025」(大阪府・関空クラシックゴルフ倶楽部)が開催される。昨年は60歳以上のグランドの部は東聡、68歳以上のゴールドの部は室田淳が制している。そのとき、自宅で療養していた飯合肇が、2年ぶりに日本タイトルを争う舞台に戻ってきた。

膵臓に腫瘍が見つかったのは2023年の12月だった。下血して病院でCT検査を受けると、「最初は膵臓ガンと言われた」。飯合は膵臓ガンで友人を2人亡くしている。「もう終わったと思ったね。(師匠の)ジャンボにも膵臓ガンって言っちゃったものだから、ガッカリしたみたい」。本人だけでなく妻と娘も「半分諦めていた」。実はこの腫瘍は悪性ではなく膵臓ガンは誤診だったと聞かされる。手術してすぐにリハビリすれば、243月のシニアツアー開幕戦に間に合うはずだった。

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ところが、年が明けると体調はさらに悪化する。「膵臓を切って除去したんだけど、最初の処置が良くなくて、他の臓器に衝撃があって時間がかかった」。3月にセカンドオピニオンで病院を移り、「そこの先生が内臓の腐ったところを1カ月半かけてきれいに掃除してくれた」。結局、4月まで病院で過ごすことになる。それまでは24時間点滴で、4月下旬に退院してからは、妻と娘の助けもあって「鼻から管(くだ)を入れて栄養を摂っていた」。その管が取れたのは7月の終わり。8月になってようやく口から食事が摂れるようになった。とてもゴルフができる状況ではない。

84
キロあった体重は54キロまで落ちてしまった。「痩せすぎて背骨が外に出ちゃっているから、やわらかいベッドでしか寝られなかった」という。10月くらいからちょっとずつ体重が増加し、現在は70キロ台まで回復。「お腹が増えただけで、筋肉が作れているかというとなんとも言えない」と笑う。今年2月に『ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーセレクションsupported by ISPS HANDA』で姿を見せたときは、かなり痩せこけていたが、いまはだいぶ健康的で顔色もいい。

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2024年のシニアツアーを全休し、最初にクラブを握ったのは12月。「友達やお客さんとコンペをして『87』くらいだった。それもレギュラーティよりもレディスティよりも前のゴールドだから最悪だよ。クラブがこんなに重いものかと。1キロ以上のバーベルを持っているくらいのイメージだった」と振り返る。実際、ドライバーは300グラム前後、7番で400グラムちょっと。ボール用品契約を結ぶブリヂストンゴルフの協力のもと、「レディスクラブでリハビリしながら」、今年は2年ぶりのツアー参戦を果たしている。

1993
年にはレギュラーツアーで、2008年にはシニアツアーで賞金王に輝いた飯合も、今年のシニアツアー3試合7ラウンドで70台は2度だけ。あとは80台のスコアが並ぶ。それでも「やっとゴルフらしくなってきた。ちょこっとバーディが取れたりしてきたから、まあまあかな」と本人は手応えを感じている。病気の前に250ヤードだったドライバーの飛距離は、一時200ヤードまで落ち、「今は230ヤードくらい」。

今年3月に71歳の誕生日を迎えた。「試合に来る以上はそれなりのゴルフをしなきゃダメだと思っている。それが今はできない状態だけど出てきている。待っていたら来年は72歳で次は73歳になっていっちゃから同じだよ」。ゴルフにならなくても、戦えなくても、試合に出ずに練習を続けていても、どんどん年老いていく。だから飯合は戦いの場を選んだ。

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今日の練習ラウンドは、羽川豊、海老原清治と笑顔で回る姿が印象的だった。たとえ思い通りの球が打てなくても、戦友たちとゴルフができることが楽しい。そんな感じに見える。最後に今後の目標を聞くと、「みんなとゴルフを続けられることが目標だよ」と返ってきた。ゴルフができる喜び、競い合う楽しさを感じながら大会初日を迎える。