
崎山武志(62)が11年間守ってきた賞金シードは昨年途絶えた。50代前半の若い選手たちの台頭もあり、崎山だけでなく久保勝美、東聡、清水洋一の60代カルテット全員が賞金シードから陥落。今季は18年ぶりに60歳以上の賞金シード選手が1人もいないシーズンとなった。
最後の砦だった3月の「PGAシニアツアー予選会・最終予選会」は、トータル4オーバー・60位に終わったため、予選会がある試合を除けば、崎山がシニアツアーに出られる機会は主催者推薦に限られる。今大会は16年に優勝している縁もあり、主催者推薦を得た。そして、2日目を終えてトップとは2打差のトータル7アンダー・6位タイと快進撃。60歳以上で優勝争いしているのは崎山ただひとりだ。

昔のように飛距離で若い選手たちと勝負するのは難しい。アプローチとパターでしのいで、2日間でボギーは1つだけに収めている。「本当にアプローチとパターの調子がいい。危ないところもありましたけど、大事なところでパターが入っているから、こういうスコアになったんじゃないかな」と振り返る。
崎山にとって、今シーズン2試合目。2週前に地元・栃木で開催された「すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント」では、「意気込みすぎたのが反省点」とトータル12オーバー・72位に終わった。それが今大会では「この2日間は準備してきたことが結果として出てきた」と見事に立て直してきた。
シード選手と違い、次の試合はまだ決まっていない。当然、気持ちを作るのは難しい。だからといって出られる試合はひとつも無駄にできない。「いつお声がかかってもいいように、準備だけは一生懸命しておきたい」と、常に試合に出ることをイメージしながら、今シーズンを過ごしている。

今年の11月で63歳を迎える崎山。技術が錆び付いていないことは、この2日間の内容が証明している。「飛距離だけでなく、アプローチやパターのしつこさとか、我慢できるぞというところをお見せできればいいかなと思います」と、シニアツアー通算7勝のプライドをのぞかせる。
あとは最終日を残すのみ。優勝すれば次戦からフル参戦が可能となる。「優勝は爆発的なスコアが出ないと、なかなか難しいと思う。できるだけ上位の人に目障りになるようなスコアで回れればいいかなと思います。頑張ります」。
60歳以上の最上位に与えられる『スーパーシニア特別賞』の100万円で満足するつもりはまったくなさそうだ。
