
「スターツシニア」初日の3番パー3。小久保晃一が放ったティショットはきれいな放物線を描いてピンの手前に着弾し、カップに吸い込まれた。試合では初めてのホールインワン。キャディを務める女子プロの妻、小久保由加里と喜びを爆発させた。「5番のユーティリティです。ちょっとフォローで実測は183ヤード。普通に打ったら大きいんですけど、スライスで打てば上手く寄るかなと思って、たまたま入っちゃった」。

この5番ユーティリティは前戦の「すまいーだカップ」が終わったあとに中古で購入し、実戦で使うのはこの日が初めて。「すまいーだで6番アイアンがいまいちだったので、(日大の)後輩の片山晋呉に相談したら、『ピンのユーティリティがいいですよ』と言われて買ってきたんです」。6番アイアンの代わりに入れた5番ユーティリティは、シャフトもグリップも売られたときのまま交換せずに使っている。
ちなみに、やさしいクラブにこだわる片山は、6番アイアンどころか8番アイアンまで抜いて、ユーティリティを使うことも。さらに9番アイアンを抜く計画もあるとか。

小久保はレギュラーツアーでは5試合の出場にとどまり、最高成績は2005年に出場した「日本プロゴルフ選手権」の49位タイ。日大の先輩や後輩たちの活躍はテレビで観ていた。「これまではなかなか試合に出られなかったので、シニアで彼らとやれる機会があればと思いながらやってきた」。22年にシニアツアーデビューし、今年3月の「PGAシニアツアー予選会・最終予選会」では8位に食い込み、初めてツアーにフル参戦する権利を得た。
「初戦はビックリするくらいの感じでやれて、そこそこやれるんじゃないかと思った」。開幕戦の「ユニテックスシニアオープン」ではいきなり5位に入り、手応えを掴む。3戦を終えた現時点の賞金ランキングは26位で、30位以内のシード圏内にいる。「今年はシードを目標に考えています。一試合一試合、緊張した中で経験を積んでいけば、もしかしたら上位でやれる可能性はある。そこを目指してやりたいです」。

そして、いつも隣でサポートするキャディの妻については「着るものを洗濯してくれたり、運転もしてもらえるし(笑)、助かっていますね」と感謝する。夫がシニアツアーに出るときは妻がコースへの行き帰りを運転し、妻が(JLPGA)レジェンズツアーに出るときは、今度は夫が運転しキャディを務める。「僕らは性格が正反対だから合っているんです。僕はいい意味で適当で、彼女はきっちり。僕にないものを彼女が持っているし、彼女が持ってないものを僕が持っている」。
ホールインワンもあって、初日は首位と3打差の3アンダー・12位タイとまずまずのスタートを切った。「チャンスがあれば上手くいけばいいなと思っています」。妻との二人三脚で、さらなる上位進出を目指す。
