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【日本プロ/FR】譲れないプレーオフ戦は4ホール目で清水大成が激闘を制し、プロ5年目で悲願の初優勝

2025年05月25日
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 今年のプロゴルファー日本一を決定する日本最古のトーナメント「第92回日本プロゴルフ選手権大会」最終ラウンドは、12アンダー首位発進の生源寺龍憲と3打差5位からスタートした清水大成が通算14アンダーで並びプレーオフへ。18番ホール(602yard/Par5)繰り返し4回目。生源寺が4オンでパーパットを外したのに対し、清水は3オン2パットのパーで決着。プロ5シーズン目で初優勝を公式戦で飾った。

表彰式では日本プロ優勝杯と文部科学大臣杯が渡され、優勝賞金3000万円と5年シードを獲得。優勝副賞として飛騨牛10キロと揖斐郡産のお米「はつしも」3俵、徳さんサボテンプレミアムセット、さらに富有柿35キロが贈呈された。

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今年の日本プロは、初日に前年覇者の杉浦悠太が「64」で首位を飛び出し、二日目にはショーン・ノリスが「61」と最少ストロークを叩き出すというハイスコアのゲーム。三日目にはノリスが誤所からのプレーで2罰打を課されたことでトップとの打差が縮まり、最終ラウンドでは「優勝争いに何か起きる」と、ゲームの流れを見ていた人々は何処となく感じていたのかもしれない。

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首位の生源寺、ノリスとの3打差に7人がひしめいて最終ラウンドが始まった。清水は最終組のひとつ前で9アンダー5位グループからスタートし、序盤から3連続バーディで滑り出す。6番では2オンに成功しバーディ。9番ではピンまで193ヤードの距離を7番アイアンでピン奥2メートルに着けてバーディと前半で5つスコアを伸ばした。

後半にはいっても清水の勢いは止まらない。11,12番で連続バーディを仕留めて首位を逆転。

ここから突き抜けるかと思われたが、日本プロ仕様に整えられた“谷汲チャレンジ”が待っていた。

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15番から18番ホールまでアゲンストの西風が強弱をつけて選手を翻弄し始める。清水は15番をパーでしのいだが、16番のティーショットは左林斜面のカート道へ。ウエッジで切り抜けようとしたが、ボールはグリーン右奥のOBゾーンに消え、ダブルボギーにしてしまった。17番パー3ホールは、この日のホール難易度が2番目、ティーショットはグリーンを捉えられず、寄せた4メートルのパットを外してボギーに。1つ後退したものの、最終18番パー5では2オンに成功し、アプローチで50センチに着けてバーディフィニッシュ。

後続の生源寺は18番でパーセーブしたことでスコアが並び、勝負の行方はプレーオフ対決にゆだねられることになった。

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18番パー5ホールの繰り返しという条件で1ホール目がスタートした。

清水が放ったティーショットは右へ流れ、レッドペナルティエリアのがけ下に消えた。打った瞬間に「終わった」と落胆したが、ボールは雑草の生えている茂みの中で運よく見つかったのだ。アドレスを取ったが葉っぱでボールも見えなかったが、とりあえずフェアウェイにだし、残り250ヤードを全身で振り抜くと、ボールはグリーンを捉えピンまで4メートルの距離に着けるスーパーショットを披露。バーディパットはカップの右に逸れて決められなかったが、互いにパーとし、ピンチを免れた。

3ホール目も両者バーディと実力が拮抗して4ホール目へ。

生源寺が4オンしたのに対し、清水は3オン。生源寺がパーパットを外して清水がパーとし、長いプレーオフに清水が決着をつけたのだった。

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「最高です」と清水は優勝インタビューで声高らかに応えた。26歳同士、勝つか負けるかしかない戦いは、両者逃げずに攻めに攻め抜いた、熱い戦いだった。

清水にとってはプロ転向から6年、ツアーに本格参戦してから5シーズン目で念願のツアー初優勝を飾った。ツアー初優勝を日本タイトルで決めたのは、2023年「日本オープン」を制した岩﨑亜久竜以来の通算30人目で、「日本プロ」では2021年のキム・ソンヒョン以来9人目の達成になる。

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パッティングに抜群の安定感があったのは、大会の平均パット数が全体の1位(1.3846)だったことで証明される。昨年のツアーパット部門では第1位で、清水は歴代最高となる「1.6884」を記録している。今週はパッティングというよりも、ライン読みの練習に重点を置いていたといい、重要な場面では自信を持ってパッティングで凌ぐことができた。

これまで何度も目の前にあった優勝のチャンスがつかめずにいた。最終日首位から出て逆転優勝されたのが関西オープンとパナソニックオープンの2回。昨年の日本プロでは初日、二日目で首位に立ったにも関わらず、大会を4位で終えていた。「いままではモードに入りすぎていて、優勝を意識しすぎていたんだなと。優勝争いをしている一打だろうと、初日の一打目だろうと同じテンションでやることを心がけました」と清水はメンタル面での成長を感じている。

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まずは念願だったツアー1勝をあげて、夢に向かって一歩踏みだしたところ。今後の目標は「今シーズン始まる前から賞金王を目指しています。そして米国PGAツアーにも挑戦したいと思っています。大体10月1週目までの賞金ランキング5位までに入っていれば、セカンドQTから行けるので、そこを目指したいです」と顔を輝かせた。

ツアー本格参戦の5シーズン目でようやく手に入れたビックタイトルは、清水にとって「最高です」と言わしめるほどの興奮。大学1年で日本学生を制してから、かれこれ7年という月日が流れ、1番優勝に近いと期待されつづけてきた福岡県出身の逸材が、岐阜の踏み切った青空の下、最高の笑顔で大トロフィーを掲げた。

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