
68名が参加する「関東プロゴルフグランドシニア選手権大会」の第1ラウンドが5月13日、箱根湖畔ゴルフコース(6,431ヤード/パー72)で行われ、2023年大会チャンピオンの久保勝美(62)が9バーディ・ボギーフリーの63で回り大会2勝目に向けて好スタートを切った。5アンダー2位に比嘉勉(61)、比嘉と1打差3位にグランドルーキー芹澤大介(60)、前年覇者の崎山武志(62)が続いている。グランドデビューの米山剛(60)は2アンダー7位タイに着けている。
久保勝美が初日から猛チャージを賭け、好スタートを切った。「パートナーに恵まれたんですよね(笑)」と同組の米山、芹澤大介(60)、白浜育男(66)が口を揃えて久保に言う。どうやら組の雰囲気が、久保の好プレーを盛り上げてくれていた。

グランドの若手である米山、芹澤と飛距離はさほど変わらない。ストロークの差になったはパッティングの精度だった。「久保さんはミドルパットがしっかり決められているので、流れに乗っていけるんですよね。本当に勉強になりました」と芹澤大介も脱帽だ。米山は「久保さんだけ"みんゴル"状態でしたよ」と楽にゲームを進めることができたようだ。
久保は「いいラインにつけられたことも要因。今朝スタートの時にこのコースで大会初日(ISPSハンダフィランスロピー2014)に"62"で回ったことのある白浜さんの話を聞いてね。なんか意識に入ってきたのかもしれませんね」と振り返った。


それにしてもパッティングが良く決まった一日だ。スタート1番(パー5)はスタイミーになる木の裏からのサードショットをグリーンキャッチさせパーセーブ。2番(パー5)はガードバンカーから2メートルの距離につけてバーディを先行させると、その後6番、8番で1メートル前後のパッティングを沈め3アンダーでターン。
後半に入ると11番(パー3)で3メートルを沈めてから13番から3連続でバーディを奪うと、17、18番ではミドルパットを2度沈めて後半だけで6つのバーディを獲得。「途中エージシュートも意識しちゃったよ」と笑うが、久保にとって63は箱根湖畔でのベストスコアで、エージシュートまであと1打に迫るビッグスコアを披露した。2年前の優勝スコアは64でノーボギーだったこともあり、今回はさらに1つスコアを伸ばすことに成功したのだ。

コースを良く知る久保にとって、回りやすい条件が揃ったという。「今はシニアツアーでも同じ年代の仲間がいなくてね。ついていくのがやっと。今回は若手でグランドに入ってきた”ヨネ”もいたし”大介”もいて。白浜さんの62を出した話にも刺激もらったし、同じ組で良い緊張の中でプレーできたんでしょうね」と受け止めている。
久保は2013年に「ISPSグローイングシニアオープン ハンダ熱血シリーズ第5戦」で65-68というスコアで比嘉勉と並びプレーオフを制し優勝していることもあり、箱根湖畔は相性の良いコース。当時から12年経って、久保はまだまだ進化をみせているが、本人は「昔はもっと飛んでいたとか、そんな経験とか感覚もあるけどね。今は62歳なりのゴルフでいいのかなって思ってますよ。特に今日はランがでない中でも、スコアにまとめられましたからね。だから年齢に見合ったゴルフということを意識しています」と足元を見つめているのである。

それにしても世代別のゴルフは、親交を深く温める良い機会になっているようだ。久保の周りには地元が同じ埼玉の仲間が5、6人いて、一緒に過ごすなかで良い刺激になっているという。「あれこれ好きなことを楽しくね、言い合ってますよ。食事も楽しい時間だしね」と笑いも絶えない様子。
プロとしてゴルフを楽しむための健康の秘訣を聞くと「僕の場合は早寝早起きにつきます。夕食は夜6時。就寝は9時。起床は朝4時30分。大晦日もこのルーティーンを守っているもんだからね、かみさんがツマラナイんじゃないかって思うよ(笑)。ゴルフ場にも朝6時前には行ってますし、自分のペースで健康管理が出来ているんじゃないでしょうかね」と明かしてくれた。
久保が大会2勝目を賭けた最終ラウンドは、目下のライバルである比嘉勉、崎山武志、そしてグランド若手の芹澤大介と同組での戦い。2位に4打差をつけたまま久保が逃げ切れるのか、久保の63に刺激をうけた仲間が猛追するのか。グランドシニアチャンピオンの名誉をかけて白熱した一戦に期待がかかる。
