
西日本で活動する68歳以上のプロゴルファー37名が出場している「関西プロゴルフゴールドシニア選手権大会KOJIMAホールディングスカップ」の最終ラウンドが、広島ゴルフ倶楽部鈴が峰コース(5,895ヤード・パー70)で開催された。
2アンダー首位からスタートした倉本昌弘(69)は1番ホールでトリプルボギーからスタートしたが前半は3つのバーディ奪取に成功。後半では4バーディ・ノーボギーとし66でホールアウト。通算8アンダーまでスコアを伸ばし、グランド・ゴールド通じて唯一のアンダースコアをマーク。2位の伊藤正己に6打の大差を着けて関西ゴールドシニアのタイトルを獲得した。優勝賞金15万円とトロフィーが贈られた。倉本は初日に続いて最終ラウンドでもエージシュートを達成。倉本含めたエージシュートは古市忠夫(84)、谷中宏至(77)、井上久雄(78)、菊一利彦(75)、伊藤正己(69)の6名が健闘した。

最終ラウンドも倉本のスーパーショットが繰り広げられた。注目が集まったスタートホールでは、ティーショットはキャリーで左の林を超えてOB。打ち直しは左のラフへ。4打目はグリーンを捉えられず、アプローチも寄らず入らずトリプルボギーに。2番パー4(410ヤード)のティーショットは「置きにいった」というロングドライビングで、ピンまで残り100ヤード。同組選手がセカンドショットでグリーンを捉えられない中、倉本はピン5メートルを沈めて1つ目のバーディ。4番は10メートルのロングパットを決めて静かに立て直し、7番ではピン手前5メートルを仕留めて、トリプルボギー分を帳消しにした。
後半に入っても得意のアイアンショットは切れ、12番からバーディーラッシュの口火を切ると計7つのバーディを奪った。終わってみれば66をマークし、通算6アンダーは、同日同ヤーデージで開催したグランドの部と合わせてもダントツのトップ。ひとり異次元のゴルフで、盤石の試合運びを見せた。

倉本は14歳で広島ゴルフ倶楽部鈴が峰コースにメンバー入りし、ジュニア育成に力を入れているコースでゴルフの腕を磨き、今のゴルフ技術の基礎を築いていた。現在はゴルフ場の理事長役を担い、会員の声に耳を傾けコースの魅力ある環境づくりに励んでいる。
「2028年にコースは100周年を迎える歴史あるコースです。あと3年、100年までは理事長を務めあげさせていただきたいと思うのです。グリーンも綺麗になって、コース全体も明るく、そして難しい魅力ある場所。スタッフもメンバーも一丸となって100年を目指すことは互いにとってウィン・ウィンの良い関係が築けますよね」と明るい未来を描いている。
三好耕介コース支配人は「理事長は広島が誇るレジェンドプレーヤーですし、その倉本さんがコースに携わっていただいていることで、特にシルバーでサポートしていただいているスタッフが喜んで仕事に向き合ってくれています。倉本さんがコースの人間関係を大事にしていることが伝わります」と目を細める。

そんな思い入れのあるコースで倉本が70歳を目前にして優勝を飾った。「佐藤儀一氏の設計コースは、重い高麗グリーンが特徴で、距離が出ないと寄せワンが効かない。それがゴルファーを育てるコース」とゴールド先輩プロのひとりは言う。倉本は最終日も堂々とドライバーを振り抜き、ピンを狙えるグリーンエリアに球を置き続けた
。腕を磨いてきたコースで実力を証明したことも当然のことのように聞こえるが、「並大抵に成せる業じゃない」と先輩プロは改めて実力を評価した。倉本は2020年、2021年の関西グランドシニア優勝に続き、関西ゴールドシニアの両タイトルを獲得を実現させた。

今年より大会は「コジマホールディングス」が冠スポンサーとして協賛していただくことになった。ゴルフ場前理事長を務められていた小島豊取締役会長が開催趣旨に賛同していただき、今年含めて3年間スポンサーをしていただく予定である。
倉本は「大会の賞金は少額なのに、こうして参加していただいている仲間の選手はゴルフの意欲が高く、素晴らしいことだと思うのです。トーナメント以外で生活や精神的な余裕とか、地位を確立できている選手が集まっています。グランド、そしてゴールドの年齢まで人生を過ごしているプロゴルファーには、すでに人生設計ができているのではないでしょうか。少しでもこういったプロゴルファーが大会での活躍を魅せる場があることに賛同していただけるのであれば、大変有難いことです」と受け止めている。

関西ゴールド2週間前には、レギュラーツアー“前澤杯 MAEZAWA CUP 2025”にも出場。日本ゴルフツアー機構で副会長を務める傍ら、精力的にツアーの盛り上げにも一役買っているが「70歳を節目にひとつ変わりつつあるのかなって。日本プロはもう今年は出場しないですし、レギュラーは今年いっぱいの参戦になる予定です。徐々に試合を減らすタイミングなのかなと。でも楽しいゴルフは続けていきたい」と胸の内を明かしている。

そして、これからもゴールド世代としてゴルフを続けるための“健康”について。「体を動かせることが一番だと思うんですよね。ゴルフをやるか、トレーニングをやるかは別にして、いかに体を動かすかということにつきます」と年齢の中で感じる”健康”がある。「だってグランド・ゴールドの試合は、選手みんな大きな声で言いたいこと言って、陽に当たってストレスがないよ(笑)。元気だしね、健康。試合があればこうして必ず参加する選手もいる。それって素晴らしいプロ人生じゃないかな」。先輩プロの談笑する姿をみて、倉本は柔らかい表情になる。
最後に「来年はね、賞金あげてもらいます。私はこうして一回勝たせてもらったので、参加は充分です」と締めくくり、プロアマも含めホームコースで充実した3日間を振り返ったのだった。


<2位タイ 伊藤正己 69歳 149ストローク (+2)>
くたびれました(笑)。ヒザは痛いし、もうあちこち痛いところでてくるよ。
昨日はショットが当たってなかったけど、今日はやけに振ったら良かった。2番ホールでティーショット3回打ってどうかなと思っていたけど、左のバンカー付近で見つかってセーフ。安心したことも少し良くなった要因かもしれません。倉本さんが80回叩いてくれないと、優勝できませんね(笑)。さすが。
来年に向けて技術レベルをあげて戻ってきます。

<4位タイ 川上典一 70歳 148ストローク (+8)>
今日は後半良くなったのですが、遅かったかな。最近、スイングを改良していて、その効果が出てきた感じがあるんですよ。
まずバックスイングを1週間かけてじっくり変えて。そうそう、「変える」というのではなくて「覚える」ようにしてね。それがインスタで知ったゴルフ先生とダイレクトメールでやり取りして、スイングを診てみてもらっています。プロセスとか理論とか、腑に落ちる形で説明してくれるんですよ。
おかげで今とてもゴルフが楽しいですし、スイングすることが楽しい。今日は最終日最終組で倉本さんとプレーできて、勉強させてもらいました。