
本大会の最年長プレーヤーは尾崎健夫(71)。そして永久シードプレーヤー倉本昌弘(69)、尾崎直道(68)、片山晋呉(52)。丸山茂樹と共に世界ゴルフ選手権で優勝した伊澤利光(57)。ツアー通算20勝を挙げている谷口徹(57)、鈴木亨(58)、プラヤド・マークセン(59)、手嶋多一(55)、深堀圭一郎(56)、横田真一(52)といったレギュラー優勝経験のあるベテラン勢もずらりと名を並べる。
シニアルーキーにはツアー2勝を挙げている井上信をはじめ、井上清孝、谷昭範、岩本高志、海老根文博、古庄紀彦と期待に胸を膨らませて挑む若手も戦いに加わる。

ディフェンディングチャンピオンの兼本貴司(54)は2022年、2024年と大会2勝を挙げている。昨年は初日に65をマークしてスタート奪取に成功。最終日も67で回り、2位の片山晋呉、I・J・ジャンに3打差を付けて完全優勝を達成した。コースとの相性も良く「大好きなコースから力をもらっているので、実力以上のものが発揮できました」とコメントを残している。

大会3勝目に向けても期待されるところだが「調子ですか?あまりよくないです。芯に当たらない」と悔しがる。「開幕戦も芯に当たらない状態で、今週も直しきれずって感じで。道具を変えたとかではないです。どこかがずれてるのかな」と首をかしげたまま。

兼本は連覇のかかる中で練習ラウンドもこなしたが「風が強すぎてちょっとよくわからないですね。フォローになったりアゲンストになったり、人によってさまざまな変化があるので、それに関しては難しいかな。グリーン上も風がかなり影響するので対策も難しいんじゃないですか、風を読めた人が強いのかなと思うんです」と不安要素を残すが「去年もバーディとか、イーグルが出たんだっけな。いい流れになるようなパターが結構入りましたし、やってみないとわからないですけどね」と白い歯をのぞかせた。

昨年コマツオープンで優勝し、賞金ランキング6位でシーズンを終えた平塚哲二(53)は、キャディにプロゴルファー伊藤誠道(29)を帯同させる。「僕は神奈川出身ということもあるので、キャディやりますと平塚さんに言いました」と伊藤。平塚は「どうせひまやからな。期待してないし」と大笑い。そんな二人はプロコーチとして長きに渡り活動をしている内藤雄士ティーチングプロの元、先輩後輩の関係を15年に渡り続けている縁がある。

伊藤は絶対的に信頼している平塚と一緒にタッグを組むのはレギュラーツアーで経験があるが、シニアツアーでは初の試み。「シニアのベテランの方々ですけど、楽しそうに見えてすっごい練習を積んでいる。本当に見る価値のあるツアーなんじゃないかな」と敬服する様子。「練習ラウンドですれ違う先輩から『引退したのか』と言われ気にかけていただいたりと、なんだかつっこまれましたが、まだ現役ですよ(笑)。シニアの居心地の良さを感じました」と伊藤は笑顔を見せる。

平塚は先日の日本プロセクション予選会(地区予選)で71名中6名の枠に入り5月の日本プロ出場を自力で獲得したこともあり、実力を知らしめている。「そりゃね、力入りましたよ。シニアの開幕戦で連日よう叩きましたから(12オーバー、59位タイ)」と振り返る。平塚は磨き上げた小技を最大限にいかし、レギュラーツアーへの道を切り開いている。その傍らで伊藤は30歳の節目を目前に、まだまだ最前線で戦う先輩の背中を見て、自分のゴルフに糧となる何かを求め続けているのだ。そんな伊藤の楽しそうに話す姿を、平塚は優しいまなざしで見つめている。

また2016年、2019年大会のチャンピオンとして挑む秋葉真一(59)にとっても大切な大会。主催者推薦で出場することがきまり「初代チャンピオンということで大会に戻ってこられて有難いです」とツアー出場の喜びをかみしめる。
「グリーンが箱根攻略のキーです。グリーンへのアジャストと、試合の流れを上手くつかみたい」と大会2勝を挙げている秋葉でも、コースへの高い警戒心がある。秋葉といえば優勝した年に、お子さんが生まれるという偶然もあり、大会との縁も深い。「上の子が9歳、下の子が6歳になります。この大会で育ててもらった歴史がありますし、感慨深いです。ここで復調のきっかけをつかみたい」。第1ラウンドはアウト1組目で藤田寛之、深堀圭一郎と同組でプレー。秋葉の積極的なプレーにも注目が集まる。
