今年のプロテスト合格者50名と特別入会制度希望者4名を対象とする「入会セミナー」が、静岡県のつま恋リゾート彩の郷で12月9日から13日の5日間行われた。最終日の13日は会員証授与式が行われ、明神会長からひとりずつ会員証が手渡された。「これからは団体の中の一員になったという責任感と自覚をもって行動していただきたいです。みなさんと共にPGAを築き上げていきましょう」と会長は新人会員に向けて激励の言葉を贈った。2025年1月1日付でPGA会員入りとなり、2025年3月4、5日に富士カントリー可児クラブ志野コースで行われる新人戦に参加する。
今年の入会セミナーではゴルフ法学、ゴルフ用具論、接客マナー、身だしなみ、コース管理、ルール講習、SNS利用法、トレーニング論といった全講義18科目が開講された。プロテストに合格しているティーチングプロ会員の佐藤一成は、セミナー受講は免除で、佐藤にはトーナメントプレーヤー資格が新たに加えられることになる。今年もゴルフに対するモチベーションの高い、期待のかかる数多くの新人会員が誕生した。
――― 中谷樹 なかたに・たつき ―――
小学5年生の時に、これまで取り組んでいた劇団とゴルフ、どっちを取るか選択を迫られて、ゴルフを選びました。理由は劇団で丸刈りにする役を選ばなかったということなのですが(笑)。ジュニアの時に広田悟プロに教えていただいたこともあり、高校卒業後は広田プロにご縁をつないでいただき、山口にある下関ゴールデンゴルフクラブで研修生として働いていました。プロテストは4回目で合格しました。
入会セミナーでは「プロゴルファーのプロ意識について」の講義が印象的でした。徳島のJクラシックというコースには、尾崎将司プロの飛距離が示されているものがあるのですが、改めて尾崎プロの偉大さと裏付けされた努力を知りました。強い人だからこそ日々の努力があるということが、刺激になりました。
人を楽しませることのできるプロゴルファーになることが目標です。自分のゴルフを観に来ていただけるようなプロを目指し、ゴルフの魅力を伝えていきたいです。
――― 竹内瑛信 たけうち・えいしん ―――
父がレッスンプロとして活動していましたので、小さい頃から父の素振りをみてゴルフに興味を持ちました。ゴルフは6歳から始め、中学、高校で腕を磨き、大学2年の時には日本学生10位に入賞しましたが、その後本格的にプロを目指そうと大学は中退。父がラウンドレッスンをしていた松山シーサイドでゴルフ漬けの日々がスタートしました。朝9時から夜8時まで、球打ちやラウンド、トレーニングなど毎日休みなく練習していました。プロテストは2回目で合格でき、これまで関わっていただきました大勢の方に、合格を喜んでもらいました。
いままでネクタイを着ける機会がなかったのですが、今回プロゴルファーとしての装いという講義で身だしなみを教えていただいて、ネクタイを結べるようになりました。これからは“華”のあるゴルファーを目指したいです。ゴルフが上手いプロはもちろんですが、それ以上に謙虚な気持ちを持って、天狗にならず、しっかりとプロ活動をしていきたいです。
――― 重永将慶 しげなが・まさよし ―――
父がゴルフ好きで、僕は立ち上がる頃からゴルフクラブを握っていたと聞いています。小学校の時に、ダンロップフェニックスを観戦し、石川遼選手から直接グローブをいただいて、プロゴルファーになると誓いました。高校の時は陸上部に入り身体の基礎を作りました。短距離を中心に県大会、中国総体に出場した経験もあります。両親から勉強もちゃんとやってほしいと言われていたこともあり、山口大学工学部に進学。機械工学を学びました。
当時大学には院生も含めてゴルフ部員は5人。あまり活発な部活でもなかったのですが、せっかくゴルフ部があるのならと僕たちの代が部員を集めて、練習環境を作りました。出席は厳しかったですし、対外試合は公欠にはなりませんでした。それでも最終学年のタイミングで計画的に試合に出場し、中四国学生では優勝することができました。県アマに勝てなかったのが心残りですね。
プロテストは一回目で合格できました。最終日17ホール目(インスタート)で5メートルのミドルパットを決めて合格を確信しました。特に父が合格を喜んでくれました。両親のサポートには心から感謝しています。
ゴルフ用具論(ボール)の話は、大学で流体力学の講義と同じだったので、ゴルフに置き換えられていて理解しやすかったです。理系ということもあり物理や力学の観点から卒業論文はパッティングに関する研究でした。
今後は自分の活躍だけでなく、次世代に憧れてもらえるプロになりたいです。ゴルフ以外の分野でも認められるよう、情報や感覚を常にブラッシュアップしていこうと思います。
――― 難波大翔 なんば・ひろと ―――
小学生の頃から、たくさんのスポーツや興味があることに挑戦させてもらいました。中学に上がるタイミングで“ゴルフ”一本に絞ると決意。ゴルフは夢中になりましたし、面白さが違いました。父がプロゴルファー(難波健太朗)ということもあり、手ほどきをうけながら、ゴルフを楽しんでいました。中学では静岡県ジュニア選手権で2勝、高校では静岡・山梨県の高校ゴルフ選手権でも1勝挙げましたが、全国大会では勝つことができませんでした。
高校卒業後は葛城ゴルフ倶楽部に入り、キャディの仕事をしながら練習しました。とにかくラウンド経験を増やすことが目的でした。父の協力もあり、いろんなコースを回らせていただく機会がありましたので、初めてのゴルフ場でもちゃんとスコアを出せるようにと心がけてプレーをしました。ボールはフェアウェイに置くこと。グリーンを捉えること。そして2オン2パットでしっかりマネジメントすることを意識しました。
プロテスト受験初年度は1次落ち、昨年は最終で不合格。今年はレイク浜松カントリークラブへと新たに練習環境を変え、最終プロテストでは通算3オーバーで合格することができました。競技では悪天候でその日のプレーが成立しないことも経験していたので、初日からスコアをちゃんと出せるようにと強い意思を持って挑めたことは大きな収穫でもありました。
入会セミナーでは、現役のトーナメントプロが弾道測定機器の数値をどう分析して利用しているのかという内容に興味を持ちました。自分が意識していないポイントもデータ化されますし、トッププレーヤーでも良い数値がでることもあれば、逆の数値が示されることもある。それは自分だけの値として理解することが大事になるということでした。
将来は、試合でギャラリーと一緒に大会を盛り上げられるようなプロを目指したいです。プロのゲームを近くで観戦できるのがゴルフだと思います。プロならではのプレーを観てもらい、プレー以外でもプロの魅力を知ってもらいたいです。プロに対するギャラリーの期待は、親しみやすさにあると、葛城で女子トーナメントを間近で見て感じました。たとえ自分がその日は悪い成績だとしても、終わったことと気持ちを切り替えて、ゴルフファンと一緒にもりあげられるのが私の考えるプロフェッショナルです。
――― 渡邊賢人 わたなべ・けんと ―――
15歳の時にクラブでボールを打つのは面白そうだなと思って、父と近所のゴルフ練習場にいきました。その時に練習場所属の岩室智章プロが「ボール打つの上手いね」と声をかけてくれました。素直に嬉しかったので、ゴルフに取り組んでみることにしました。
進学した高校にはゴルフ部が無かったので、個人で練習場連盟の登録をして、週末1、2回だけの練習で、高ゴ連の試合に出られるまでになりました。そのタイミングで岩室プロから「本格的にゴルフやってみないか」とお声がけいただき、大学ゴルフ部の推薦をいただきました。進学をしたものの体調が思わしくなく、2年で退学することに。その間は実家の農業の手伝いをしながら体調の回復に努めました。一方で加藤淳プロ、そしてゴルフを初めて2年でプロテストに合格した北村晃一プロに出会ったことで、ゴルフへの情熱を燃やし、再起のタイミングを待ちました。
加藤プロはベテランですしゴルフの技術がすごい。北村プロは3つ年下なのにも関わらず努力や才能が素晴らしい。二人のような、かっこいいプロゴルファーになりたいと目標が明確になっていました。気づけば神奈川県アマ、そして日本アマに出場できるまでに上達していたのです。
しかし体調不調が再発。ゴルフが思うようにできない中でも、岩室プロから「日本アマに出場経験もあるし、プロを目指してみればいい」と背中を押していただいたことで、本格的にプロテスト挑戦にむけて練習の日々が始まりました。
プロテストは16、17年と最終落ち。18年から5回連続で2次予選落ち。いい加減こんな甘い生活は最後にしようと、練習もトレーニングもギアの調整にも、すべてにおいて必死に取り組み、今年は背水の陣でプロテストに挑みました。最終プロテスト前には、これまでは勝負の神様を探して地方の神社を訪ねていたのですが、何かずっと違和感を感じていて。初めて地元の神様(鶴岡八幡宮)へお参りに行きました。最終プロテスト最終日、自分のスコアがボーダーラインにいるいうことがわかっていました。不安でしたし、お参りした時のお守りを18ホール握りしめてプレーしました。最終ホール2メートルのパーパットを沈めるまで無我夢中でプレーしました。結果は最終ラウンド69で回り、通算4オーバーで合格。振り返ってみると、すべて必要だったことは噛み合っていたと思いますし、合格に向けた準備だったんだなと感じています。
8回目の挑戦で掴んだプロテスト。長かったです。過去プロテストで一緒にプレーしたライバルたちからも「よくこらえたね、頑張ったね」と100件以上のお祝いメッセージをいただきました。時間はかかりましたが、すべて感謝の気持ちを込めて返信しました。中には北村プロから「下部ツアーのフィールドで一緒に戦える日を待っているから」と気にかけてくれていた言葉が本当に嬉しかった。8回プロテストを受験は、こうやって自分の財産になるんだなと感じましたし、諦めないで良かったです。
将来的には子どもたちにゴルフの魅力を伝えられる指導者を目指したいです。もちろん、北村プロの待つプロの舞台を目指して、挑戦を続けます。ゴルフの新生活はこれからがスタートです。