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男子、女子、シニア各ゴルフツアーの代表による団体戦「日立3ツアーズ選手権」が12月8日、千葉にある京葉カントリー倶楽部で行われJLPGAチームが2大会連続8度目の優勝で賞金3000万円を獲得した。MVP最優秀選手には佐久間朱莉が選ばれた。男子JGTOチームが2位、50歳以上のシニアPGAチームは逆転を許し3位に終わった。
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1stステージのベストボール方式ではペアどちらかの良いスコアが採用され、PGAチームはバーディを量産し、絶好のスタートを切った。1組目の伊澤・増田ペアが4連続バーディを含む7アンダーを叩きだし、ベテランシニアの強い存在を示したのだ。9ホールを終え「100パーセント近い内容でした」とベテラン伊澤も納得の出来。ベアを組んだ初出場の増田は「さすがに朝の寒さで身体が温まるまで待ちましたが、いーさん(伊澤)とバーディを取り合って上手くいきましたね」と顔をほころばせた。伊澤・増田ペアは4ポイントを獲得に成功した。
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しかし2ndステージのオルターネート方式なると、状況は一変。スタートホールで女子の桑木志帆・佐久間朱莉ペアがイーグルを奪取。出鼻をくじかれた形でシニアの勢いは失速…。バーディ無しの2ボギーは2ポイント獲得にとどまった。前半が好調だっただけに悔しさもあるが、増田は「そうですね、交互に打つのって、シニアは順応性に時間が掛かるんですよ」とがはは笑い。それでも「チームで団体戦は新しい経験でしたし、ほんとに楽しかった。結束力のある良いチームだと思います。来年も3ツアーズの出場を目指して一年頑張りたい」と増田はトレードマークの笑顔を光らせ、決意を新たにした。
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PGAチーム2組目は飛ばし屋の兼本貴司と平塚哲二。JGTO選手にも飛距離では引けをとらない二人にとって、ティーショットのアドバンテージは大きな武器になる。が、一方でミスをすれば致命的なダメージにもなる。この日は二人のショット精度にばらつきがみられ、ティーショットは2度も木の根元へ。1バーディ・1ボギーとポイントが取れず、1stステージはゼロポイントになってしまった。
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巻き返しを狙った2ndステージ。2オンを狙った2番パー5ホールでは、兼本がセカンドショットを大きく左へ曲げ、なんと9番ホールにある池にぽちゃ。取り返そうとチャンスを狙い続けるが、最終ホールでようやく初バーディを獲れただけで時すでに遅し。獲得ポイントならずで悔しさもにじませる。「チーム戦って緊張するんよ。人のことをつい考える。まあ、だからこのペアで良かったのもあるんじゃないかな。だからほかの2ペアの組み合わせがうまくいったのかな」と兼本は敗因を分析する。
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平塚はトラブルショットのリカバーを成功させてきたが、スコアにはまとめられず「もうね、打つ前には神様にお願いして」と必死のプレーだった様子。両ステージを終え、2ポイント獲得に終わったのだった。それでも二人はずっと笑顔でプレーを魅せ、シニアの“明るい”ロングヒッターとしてゴルフファンに印象付けたのだった。
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最終組にはレギュラー31勝の片山晋呉とレギュラー18勝の藤田寛之が大ベテランとして最強のペアを組み、PGAチームの顔となって熱い戦いを演じた。1stステージでは6つのバーディを重ねて4ポイントをゲット。ところが2ndステージでは4番のダブルボギーで二人の流れが止まってしまい、随所での好プレーもJLPGAチームの賞金女王・竹田麗央と小祝さくらのベストプレーに圧される結果に。後半の3ポイントを加算しても、JLPGAツアーの21ポイントには7ポイント及ばず無念の3位。「後半、シニアは体力が持たないね」と二人は苦笑い。
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それでも藤田は「お祭りということで楽しんでプレーできました。一番チームワークが良いのがPGAチームでした。若い選手の活躍をみて、ゴルフ界全体の雰囲気を感じ取ることができましたね。来年はアメリカチャンピオンズツアーが戦いの舞台になるので、雰囲気を感じて楽しんできます」と微笑んだ。
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片山も「藤田さんとふたりのチームワークもほんと良かったですし、良いプレーもありましたし、楽しくできました。来年の海外メジャーに向けて思い切ってやっていきたいです」と気持ちも一新している。日立3ツアーズのプレーを心底楽しんだ様子のベテランシニアのふたりは、世界に向けて明るい未来を自ら切り開き、歩みを止めることはない。
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