22年大会のプレーオフで惜敗した飯島宏明がシード喪失の危機にある。鹿児島に乗り込んできたときの賞金ランキングは31位で、来季の出場権が与えられる30位以内からわずかにこぼれていた。シードを確定させるには100万円の上積みが必要で、それには今大会でトップ10が目安となる。初日は「70」で2アンダー・8位タイとまずまずのスタート。そして2日目は「68」と4つ伸ばし、トータル6アンダーは6位タイと順位を上げて明日の最終日を迎える。
「ショットは良くないです」と言いながらもボギーフリーで回り、表情が少し明るいのは、「とにかくパターが入っています」とグリーン上でカバーできているから。「一緒に回った倉本(昌弘)さんにも言われましたけど、とにかくパターがヤバイくらいに入っています。どっからでもパーです」。グリーンを外しても寄せワンでしのぎ、好スコアにつなげている。
パット好調の要因は「太い線」を挙げる。シニアに関わらずツアーではボールに線を引いて、グリーン上でターゲットラインに合わせる選手は多い。飯島もその1人なのだが、その線が「笑っちゃうくらい」太いのだ。「線が細いとすごい神経質に『ちょっと左向いているな』とか気になったりするんですけど、太いとアバウトに置けるので何か落ち着いてできるんです」。
きっかけはクラブチャンピオンを獲ったこともあるアマチュアとのラウンドだった。「その方がすごい太い線で、あまりにパターが入るので真似しようと思ったんです」。早速、今週の練習ラウンドから試してみたら「感触が良かった」。試合に入ってもここまでは好スコアにつながっている。
2021年のシニアデビュー以来、昨年まで3年連続で賞金シードを維持してきた飯島。「今年はパターがダメで」と、パッティングがネックとなり、シード喪失の危機に直面していた。それが太眉のようなボールのラインによって逆転シードどころか、トップとは3打差で初優勝も狙える位置で大会最終日に進む。「上にいる人がすごい人なので、少しでも順位を挙げられるように頑張ります」。トップにいるのは前年覇者で2年連続の賞金王をすでに決めている宮本勝昌。絶対王者を焦らせるプレーを期待したい。