賞金ランキング30位以内には来季の出場権が与えられる。今季最終戦は残り1日を残すのみだが、そのシード争いも佳境を迎えている。なぜなら上位を見てみると、2位タイには飯田耕正(賞金ランキング51位)、4位タイには飯島宏明(同31位)、6位タイには山下和宏(同35位)、8位タイには今野康晴(同40位)と東聡(同41位)、14位タイには久保勝美(同33位)と篠崎紀夫(同37位)とシードの崖っぷちの選手たちがひしめいているからだ。
「今回はちょっと普通じゃないですよ。ビックリしましたよ。よりによって30位台と40位台の選手がね」とビクビクしていたのは、シードギリギリの賞金ランキング30位でこの最終戦を迎えた堺谷和将。初日は「73」の1オーバー・33位の滑り出しでライバルたちに置いていかれ、掴みかけていたシード権が少し遠ざかっていた。
「今日は絶対60台を出そうと決めていた」。強い決意を持って臨んだ今日の2日目は4番で先にボギーが来る苦しい展開。しかし、すぐさま5番パー5でバーディを獲り返し、6番パー3でもバーディ。「連続で来たから、あれでオッて感じでした。2個目が大きかった」と波に乗ると、その後も次々とバーディを積み重ねてリーダーボードを駆け上がった。最終18番パー5で1メートル強のバーディパットを沈めて、目標通りの「67」でホールアウト。順位は一気に8位タイまで上がった。
堺谷はレギュラーツアー時代、2001年と02年に賞金シードを獲得している。しかし、20年にシニアデビューしてから、まだシニアではシードを獲ったことがない。2日目の好スコアで初シードが現実味を帯びてきた。それでも本人に気負いはない。「シニアツアーでゴルフができていないひともいっぱいいる。この場でゴルフができているだけで幸せという気分の方が楽です。初日は確かに『やっちまったな』と思いましたけど、ダメでもしょうがないと切り替えられました」。
30人にしか与えられないシード権。泣いても笑っても明日の最終日にすべてが決まる。「絶対なんて思っていたら死んじゃう。みんなは違うかもしれないですけど、俺は耐えられないです。だからダメでも良くても泣きません。俺はどんな結果になっても変わらず元気に帰ります」。堺谷を含めた多くの選手たちは、ギリギリの精神状態を保ちながら、苦しい最後の一日を過ごす。