国内シニアツアーの最終戦「いわさき白露シニアゴルフトーナメント」は2日目の競技が終了。初日に5アンダーでトップに立っていた宮本勝昌がこの日も4つスコアを伸ばし、トータル9アンダーで単独首位を守った。1打差のトータル8アンダー・2位タイには塚田好宣と飯田耕正がつける。そして、初日は1アンダー・19位タイにいた飛ばし屋の兼本貴司が、1イーグル・5バーディ・2ボギーの「67」と5つスコアを伸ばし、飯島宏明と並んでトータル6アンダー・4位タイまで急浮上してきた。
今年は最終戦の前に、宮本の2年連続賞金王が決定。賞金ランキング30位以内のシード争いが白熱する中、来季の海外メジャー切符にも注目が集まる。賞金ランキング4位以内には、来年の「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」の切符が与えられるのだ。
現在の賞金ランキングトップ4をおさらいすると、約4200万円を稼いでいる宮本の1位はもう動かない。2位の崔虎星(韓国)と3位の片山晋呉の獲得賞金は3000万円を超えていて、5位以下に落ちる可能性はもうない。4位の増田は現在2403万8249円。5位に兼本、6位に平塚哲二、7位にプラヤド・マークセン(タイ)、8位にI・J・ジャン(韓国)と続き、ジャンと増田の差は約244万円。実質的に残りの一枠を5人で争うこととなる。
■シニアツアー賞金ランキング(11月23日現在)
1位 宮本勝昌 4214万3305円
2位 片山晋呉 3190万5061円
3位 崔虎星 3004万1082円
4位 増田伸洋 2403万8249円
===4位までが海外メジャー出場権獲得===
5位 兼本貴司 2379万5094円
6位 平塚哲二 2231万2479円
7位 P・マークセン 2206万6839円
8位 I・J・ジャン 2159万5556円
2日目を終えて増田は20位タイに位置しており、このまま終わると約50万円を加算する。賞金ランキング5位の兼本との差は約24万円だから、単純計算では兼本が75万円以上稼ぐと逆転する。現在は2人の4位タイなので、獲得賞金は200万円。海外メジャーの最後の一枠に最も近いところにいるのは、兼本ということになるのだ。
兼本は2022年シーズンに1勝を挙げて賞金ランキング3位に入り、メジャーを経験している。米国に行くのも人生初だった23年の「全米プロシニア」ではトータル6オーバーで予選落ち。次の「全米シニアオープン」では初日に「82」と出遅れるも、2日目のベストスコア「67」を叩き出して予選通過。最終的にはトータル21オーバー・65位で終えている。日本では味わうことのない厳しいコースセッティングに叩きのめされながらも、「メジャーは面白かったし出てみたい」と思いを強くした。
しかし、23年シーズンは不調に陥り、賞金ランキング33位でシードの同30位以内を逃してしまう。今季は3月の最終予選会を見事にトップで通過して、4月の開幕戦「ノジマチャンピオンカップ箱根」でいきなり復活優勝。再び海外メジャー切符に手が届く位置でこの最終戦を迎えた。
シーズン中盤は「ドライバーはキャリーで290~300ヤード」という自慢のショットの調子を崩していたが、「(10月の)ファンケルクラシック最終日あたりからボチボチ良くなって、今回もドライバーがそこそこ当たってくれている」。今日の13番パー5では、ドライバーでフェアウェイ左サイドをとらえると、残り254ヤードのセカンドショットを「スプーンでは大きすぎる」と3番ユーティリティで3メートルにつけてイーグルを奪った。
今大会の舞台は3月の最終予選会と同じいぶすきゴルフクラブ。「得意ではないですけど好きなコースの1つです。フェアウェイが広くてOBがなければ全部大好き(笑)」。ショットが復調したことで、自慢のドライバーを生かしてスコアメイクできている。
最終戦は残り18ホールを残すだけ。現在トップに立つ宮本とは3打差で、逆転優勝も狙える位置だ。昨日の初日は宮本と同じ組で回り、「パッティングが素晴らしかった。だけどショットでは思うように打てていないところもあった。『全部いったれ』っていう状態ではないと思う」とシニアで絶対的な強さを誇る前年覇者にも隙はあると見ている。「僕もパターが入ると止まらなくなると思うので、ゾーン待ちです」。そう明るく笑いながら、シニア3勝目と海外メジャー切符に狙いを定める。