今年2月に50歳の誕生日を迎え、3月の最終予選会で24位に入ってシニアツアーに参戦している飯田耕正。最終戦の初日は4バーディ・1ボギーの「69」で回り、3アンダー・4位タイと今シーズン最上位のスタートを切った。いぶすきゴルフクラブ名物の強風が吹くコンディションの中で「フェアウェイをとらえるティショットを多く打てて、比較的グリーンをとらえる回数も多かったので、大きなトラブルもなく最後まで何とかできました」と振り返る。
百戦錬磨の男たちが技を競い合うシニアツアーにおいて、飯田のプロとしてのキャリアは浅い。2004年、30歳のときに25歳以上のアマチュアゴルファーNo.1を決める「日本ミッドアマ」で優勝。06年にはJGAナショナルチーム入り。そこには東北福祉大2年の池田勇太や水城高校3年の永野竜太郎、のちにシニアツアーに参戦する田村尚之の名前も。12年、38歳のときに「いい選手と回るとすごい楽しい」とツアープレーヤーに転向し、レギュラーツアーでは13年「ミズノオープン」の31位タイが最高成績となっている。そして、19年に「PGA資格認定プロテスト」に合格し、45歳で名実ともにプロゴルファーとなった。
社会人トップアマからプロになった選手では、前述の田村や寺西明がいる。田村はシニアツアー通算2勝。寺西は通算5勝で20年には賞金王のタイトルを獲得した。
飯田にとって今年は自身初のツアーフル参戦となる。ここまで「日本シニアオープン」を除く11試合に出場して、最高位は「マルハンカップ 太平洋クラブシニア」の9位タイで、それが唯一のトップ10。賞金ランキング51位(321万3268円)で最終戦の鹿児島に乗り込んできた。来季の出場権が与えられる賞金ランキング30位のボーダーラインには、単独3位(220万円)でも届かない可能性がある。
「30位以内までは開いているので、そこはまったくピンと来ていません。50位以内なら最終予選から行ける。良いスタートが切れたので少しでも我慢して上位で上がれれば、満足して最終戦を終われるかなと思います」。現在位置する賞金ランキング51位の1つ上、約2万円差の50位以内に入ると、今大会終了後に行われる2次予選をスキップして、来年3月の最終予選に進める。そこで20位前後に入れば、来年も再びシニアツアーで戦うことができるのだ。
飯田のドライバー平均飛距離は270ヤード。シニアツアーでは決して飛ばない方ではないが、300ヤードを超えるドライバーショットを放つ兼本貴司を筆頭に、宮本勝昌、片山晋呉、増田伸洋らトップ選手たちには10ヤード以上置いていかれることになる。「室田(淳)さんとか奥田(靖己)さんとか、飛距離はちょっとずつ落ちてきたとお聞きしたんですけど、コントロールが利いていたら、まだすごいゴルフができるんだなと実感しました。そう考えると、僕もあのコントロールを身に付ければ、少しずつチャンスも増えるのかなと思います」。
室田淳は69歳となった今でも第一線で活躍。シニアツアーでは歴代2位の通算20勝を挙げている。64歳の奥田靖己もまたシードこそ失っているが、ショットの切れ味は健在。今年の「倉本昌弘 INVITATIONAL EAGLE CUP」では5位タイに入るなど、50代の若手たちの良いお手本になっている。
「自分がちょっとでもいいゴルフをして、素晴らしい選手たちの中でプレーできるのを夢見て頑張っています。あと2日間で今シーズンは終わりなので積極的にいければ」。名選手たちとの真剣勝負を楽しみにしつつ、悔いのないゴルフで最終戦を締めくくりたい。