60歳以上のグランドシニア、58歳以上のゴールドシニアと2つの部門でティーチングプロ日本一を目指す「PGAティーチングプログランド・ゴールドシニア選手権大会」が栃木県にある烏山城カントリークラブ(本丸・三の丸)で11月6、7日の二日間、同時開催される。
ゴールドシニアの部で出場する最年長代表選手は、82歳の小川清二。元々、千葉県東金市にある東千葉カントリークラブで研鑽を積み、その後栃木の那須にあるゴルフ場に移動してかれこれ38年間コースに勤めている大ベテランのプロゴルファーでもある。
大ベテランでも本大会に出場するためには、ティーチングプロライセンスを持っていることに加え、一年に一度、日本全国15か所で行われている「研修会」という一次予選を通過しなければならない。好奇心旺盛な小川は4月に群馬県のサンコーカントリークラブ会場で行われたシニアの部に出場し、上位4位に食い込んで本戦の出場資格を実力で手に入れた。
ただ、この大会に出場をすることが小川の目標ではない。実は2007年にHANDA CUP関東プロゴルフグランドシニア選手権大会が烏山城で開催され、小川は第1ラウンド64歳64ストロークと驚異的なスコアを叩き出しエージシュートを達成。優勝こそは叶わなかったが、スコア60台でエージシュート達成したことは、プロ人生を送るなかで大きな自信として生き続けている。その記録を出したコースで、再び試合に挑戦する。「そうだねぇ、82がでれば82歳の俺がまたエージシュートできるんだから」とやるべきことも明確なのだ。
小川の師匠は、2年前にプロゴルフ殿堂入りした“安田春雄”と、日本にゴルフブームを巻き起こしたレジェンドプロの“中村寅吉”のふたり。「私はね、かっこいい先輩プロに出会いました。安田先生は特にショットが抜群。中村先生はオールラウンダーでしたが、特にショートゲームとパットの技術にあこがれていましたよ」と当時を振り返る。
82歳になった今も、試合となれば全力でプレーに邁進する。「ゴルフを存分に楽しみたい。俺の楽しみはね、仲間がいるゴルフ。できるできないは別の話。かっこいいライバルたちがいるからゴルフのやりがいがあるんだ」とゴルフの魅力を口にする。そして「好きなゴルフをさせてもらっているのも女房のおかげ。今は女房がやっていたことを、俺が担うようになっているんだ。皿あらったり、洗濯機のボタンを押したりするのも、少しずつ新しいことがわかってきて楽しい」と小川は今の生活をポジティブに捉えている。
どんなタイミングで人生の転機が訪れるかはわからない。小川の奥様はここ数年で半身の自由が利かなくなってしまったという。現在は小川が妻をサポートしながら、愛犬を加えた3人で那須という土地でスローライフを送っている。ゴルフで出会った師匠への思い、そして妻へ愛情を胸に、小川は新たな挑戦にむけてスタートを切る。