国内シニアツアーの「コスモヘルスカップ シニアゴルフトーナメント」は初日の競技が終了。1イーグル・8バーディ・ボギーフリーの「62」をマークした増田伸洋が、トーナメントレコードを1打更新し、10アンダーで単独首位発進を決めた。1打差の9アンダー・2位で宮本勝昌、6アンダー・3位タイで平塚哲二と桑原克典、5アンダー・5位タイで古庄紀彦と篠崎紀夫が続いた。
増田は1番から3連続バーディを決めると、5番パー5では残り255ヤードのセカンドショットをピンの左5メートルにつけてイーグル。6番、8番もバーディとして、前半は自身初のハーフ20台「29」を叩き出した。「後半はいつも通りに何かあるのか」と、案じていたが、折り返しても13番、14番で連続バーディ、そして最終18番パー5をバーディで締めて、10アンダーでホールアウトした。
「ショットはアッというのがピタッと寄ったりとか、普通に何かパターも入ったし、ショットも良いのがあったし、トータル的に良い感じでラウンドできたかなと思います」と好ラウンドに満面の笑みを見せる。
ロケットスタートの増田のバッグを担ぐのは、レギュラーツアーで今季初シードを確定させている26歳の坂本雄介。増田の父が始め、現在は兄が経営する千葉県柏市のゴルフ練習場、『双伸ゴルフセンター』で普段は練習しているという。「あいつはうちで飯を食うんだもん(笑)。うちの息子はゴルフ場(平川CCの研修生)に勤めているから帰ってこないのに、かみさん、俺、娘、あいつで飯を食っている(笑)。そんなのがあるんですよ」。家が近所ということもあり、普段から仲良くしている。
坂本はどんな存在かと聞くと、「球拾い部隊ですよ(笑)。最後に拾うときに欠かせない存在」と答える。練習場の営業が終わったときには、一緒に球拾いをしているのだ。今大会に限れば「回りやすい環境を作ってくれたり、ライン読みも2人で読んで参考にしたり」と、初日の10アンダーに貢献している。
時代を遡ると、増田が高校を卒業して千葉カントリークラブ川間コースで研修生をしていた頃、『双伸ゴルフセンター』で練習していたのは、日大ゴルフ部の宮本だった。「僕がゴルフ場から戻ってくると、一緒に練習して、一緒にうちで飯を食っていましたね」。増田家と食事をともにした宮本と坂本が、30年以上の時を経て、同じ大会で優勝争いをしているというのも何だか面白い
宮本は昨年のシニアツアー賞金王で、今年も3勝を挙げて賞金ランキングトップを走っている。10月の「日本プロゴルフシニア選手権」では、増田がトータル16アンダーまで伸ばして今季初優勝。3打差の2位に宮本が入った。そのときは別の組だったが、明日の最終日は同じ最終組で回る。
「一緒に回って勝てればいいかなと思います。自分のゴルフで負けたらしょうがない。明日は一生懸命自分のゴルフに徹したい」と増田が言えば、「日本プロシニアではこっちがどんなに頑張っても追いつく気配がなかった。明日はもうちょっと接戦になるようなプレーはしたい。ついていきたいですね」と宮本はリベンジに燃える。
宮本が勝てば2年連続の賞金王が決まる。また、賞金ランキング6位の増田が勝つと、来季の海外メジャー出場権が見えてくる。例年、賞金ランキング4位以内には、翌年の「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」の切符が与えられるのだ。増田は昨シーズン、賞金ランキング4位で終えて、今年のシニアメジャー2試合に出場。しかし、全米プロシニアも全米シニアオープンも予選落ちに終わった。
「自分の中で打ちのめされた部分もあるから、やっぱりまた挑戦したい。明日勝てれば年間複数回優勝は初めてだし、そこは目指して頑張りたい」。世界への挑戦権を手にするためにも、賞金王争いを面白くするためにも、このまま逃げ切って終わりたい。