レギュラーツアー3勝をマーク、シニアでは参戦2戦目のノジマチャンピオンカップで初優勝を飾っているシニア2年目、韓国出身のI・J・ジャン(51)が9バーディー・2ボギーの65を叩き出し、シニアルーキーの山下和宏に並んで2位と好調な滑り出しを見せている。
ジャンの強みは「昔からよく練習させてもらっているホームコースのような場所。コロナ禍のときには博多に住んでいて、和白は全部知っています」という自信の裏付けがある。昨年は初日に67を出したが、最終日には73とスコアを落として8位に終わっていることもあり「今年こそリベンジしたい」と意欲を燃やしている。
ジャンにとって大好きなコース、そして息詰まって過ごすしかなかったコロナ禍でも、ゴルフ感を切らさずにいられた和白。その思い入れは、出場選手の誰よりも強いという自負をもって、今回は堂々と戦いに挑んでいるのである。
シニアルーキーイヤーでシニア1勝をあげ、賞金ランキングは5位でシーズンを終えたジャン。パフォーマンスを発揮することに手ごたえを掴み始めていたが、今年はこれまで10試合に参加し、トップ10入りは5回。中でも開幕戦のノジマチャンピオンカップ(2位タイ)と日本シニアオープン(2位)では、優勝のチャンスが目の前にあったが、その2文字はするりと逃げてしまった。ファンケルクラシックを終えて、現在賞金ランキング6位につけているが、優勝なくこの位置にいられるのは、本人もしっくりときていない。
「ようやく成績が上がってきましたし、あと3試合一生懸命に頑張って、良い成績を収めて一年を終えたいです」と控えめなコメントを残したが、この大会に向けて万全な状態にきていることは確かだ。「僕は日本が大好き。特に日本の温泉は素晴らしいですよ。ゴルフで疲れた体をしっかりと癒してくれる。昨日は帯同キャディ(の月森さん)と温泉を調べて、ここから50分くらいかけて、脇田温泉まで行きました。そしたら、すばらしい温泉の質と景色とすべてがリラックスさせてくれてパーフェクトでした。日本には素晴らしい温泉文化がありますし、僕は力をもらっています」。流ちょうな日本語で、日本が大好きと話すジャンには、エナジーがみなぎっているように感じさせる。
「お世話になっている和白に、良い報告を届けたい」と言葉をかみしめて、ジャンは今年もめぐってきた優勝チャンスにしっかりと手を伸ばしている。