「ファンケルクラシック」ではチューズデートーナメントと呼ばれる予選会が、大会同週の火曜日に行われる。今年は104名のシニアプロが参加して、7名が本戦への出場権を掴んだ。その中の1人、太田祐一が終盤の16番から3連続バーディを奪って一気にリーダーボードを駆け上がり、片山晋呉と並ぶトータル9アンダーで2位タイフィニッシュ。レギュラーツアーでは目立った成績はなかった男が、今週は大きな輝きをみせた。
太田は日体大出身で、今年の1月に50歳の誕生日を迎えた。昨年行われた「2024年度 PGAシニアツアー予選会」では、歴戦のツアープロたちを押しのけ、1次と2次をどちらもトップ通過。しかし、「絶対に10位には入れると思っていた」と意気込んで臨んだ今年3月の最終予選は47位に終わり、コンスタントに試合に出られる20位以内に入ることはできなかった。
2週前の「日本プロゴルフシニア選手権」でシニアデビューし、トータル4オーバーで52位タイ。そして「このファンケルは予選会から出られるのを知っていたので、頑張ろうと思っていました」と、シニア2戦目のチャンスを掴んだ。初日はトップに1打差の5アンダーと絶好のスタートを切り、2日目は6番までに3つ伸ばして、一時はトータル8アンダーで単独トップに立った。しかし、8番パー3で乗らず寄らず入らずのダブルボギーを叩いて後退。結局、2日目は「72」と足踏みして、トップとの差は4打に開いた。
最終日は最終組の2つ前からレギュラーでもシニアでも優勝経験のある鈴木亨、平塚哲二との組み合わせでスタート。前半に1つ伸ばすと、最後は3連続バーディ締めで、この日のベストスコアタイとなる「68」を叩き出した。2位タイという上々の成績に満足しているかと思いきや、「日本プロシニアで20万円稼いでいるので、もし単独2位に入ったらシードに入れるかなと思っていました」と本人はいう。
昨年の実績で見ると、来季の出場権が得られる賞金ランキング30位以内のボーダーは587万2566円。もし太田が単独2位に入っていれば、日本プロシニア52位タイの20万3500円に賞金600万円が加算されて620万3500円となり、それを超えていたことになる。今回は片山との2位タイで獲得賞金は450万円。合計470万3500円でランキングはシード圏内の25位までジャンプアップした。だが、太田は今シーズンの残り3戦の出場資格を持たないため、圏外に押し出される可能性が高いのだ。
それでも、2次予選が免除される賞金ランキング50位以内に入るのは間違いない。「シニアツアーに入って最終組の2つ前でプレーしたのは初めてだったんですけど、やれるかなという手応えはあります。来年のシニアツアーに出られるように頑張ります」と来季へ思いを馳せる。そのためには、来年行われる最終予選会で上位に入らなければならない。
太田はレギュラーツアーや下部ツアーに出られないときは、ATPゴルフツアーなど1dayのミニツアーをメインに戦ってきた。これまでに積み上げたミニツアーの勝利数は“128”。今年も6勝を挙げている。ミニツアーに参加している選手の中では知られた存在なのだ。
また、今大会では背すじをピンと伸ばしてキビキビと歩く太田の姿が印象的だった。「姿勢が悪いと怪我をしたり、スイングにも影響が出ます。トレーニングもしっかりやっているし、普段から姿勢には気を付けていますね」。ミニツアーで試合勘を養いながら、シニアツアーフル参戦に向けて真っすぐ歩みを進めていく。