明日の18日から、静岡県の裾野カンツリークラブを舞台に3日間の日程で「ファンケルクラシック」が開催される。昨年はシニア2年目の宮本勝昌が最終日に2打差を逆転し、地元の静岡でシニア初優勝を飾った。「1勝目は記録的にも残りますし、シニアに限っていえば、自分にとって最初の一歩だと思っているので感慨深いものがあります」。この勝利を皮切りに3勝を挙げ、2023年のシニア賞金王の座を掴んだ。
大会のポスターには宮本の写真が大きく真ん中に配置されていて、チャンピオンとしての意識は嫌でも感じてしまうところ。「ディフェンディングチャンピオンって変なプレッシャーになることの方が多いので、今日くらいまではポスターを見て浸りながら、いったん切りたい」と、本人は考えている。
ポジティブな要素もある。きょうのプロアマ戦で宮本は、読売ジャイアンツの前監督で大会特別顧問も務める原辰徳氏と、大会を主催する株式会社ファンケルの池森賢二名誉相談役とラウンド。「池森会長は『この試合は連覇が多いんだよ』とお話しされていたので、前向きに考えていきたい」。2001年に始まった今大会を振り返ると、これまで高橋勝成(01~03年)、室田淳(06~07年、15~16年)、尾崎健夫(08~09年)、羽川豊(13~14年)、プラヤド・マークセン(18~19年)の5人が連覇を達成している。
そして余談になるが、プロアマ戦の最終18番グリーンでは原氏の代名詞でもある念願のグータッチを実現。「(ものまね芸人の)神奈月さんとはよくしていましたけど(笑)、本物とは初めて」と感激気味だった。また、原氏は6年ぶりに本戦にも出場する。一時はハンデ1までいった実力で、「広島の前田(智徳)さんも内川(聖一)さんもそうでしたけど、野球出身者でゴルフが上手な方って本当にクラブ裁きが上手い。昔から原さんには思っていましたけど、実際に回っても上手いなと思いました」と、ゴルフの腕前に驚いていた。
宮本の現在の賞金ランキングは3位。前週の「佐世保シニアオープン」終了時点で賞金ランキングトップにいれば、宮本が目指す米シニアツアー(PGAツアー・チャンピオンズ)の来季の出場権をかけた予選会のファイナルステージ(米アリゾナ州、TPCスコッツデール、12月3~6日)から出場できた。宮本はトップになれていないことも見越して、ファーストステージ(米フロリダ州、バックホーン・スプリングス、11月12~15日)にエントリーを済ましている。
「(賞金ランキング)最上位を目指してやっていましたし、ホソンが1番でシンゴが2番ということもずっと分かっていました。だから日本プロシニアで優勝するしかないと思っていた。それができなかった時点でファーストステージから、というのはプランの中に入れていました」。
宮本は前週、「日本オープン」に出場していたため、2週前の「日本プロゴルフシニア選手権」で、賞金ランキング1位のチェ・ホソン(韓国)と同2位の片山晋呉を逆転する必要があったのだ。「あくまでも目標は米シニアツアーのファイナルQTに行って5番以内に入ること。あとは今週の試合で優勝を目指すのは変わらないです」。米シニア出場への道のりは少し変わってしまったが、宮本のやることは変わらない。
チームセリザワの兄弟子、藤田寛之は今週から米シニアツアーのプレーオフシリーズに出場し、米シニアのフルシード権を目指して戦う。もしかすると来季は、宮本と藤田の2人で米国を転戦する姿が見られるかもしれない。「僕はもうそのつもり満々です」と笑顔を浮かべながら、忙しくなりそうな秋の陣に思いを馳せた。