「第11回トラストグループカップ 佐世保シニアオープンゴルフトーナメント2024」の最終ラウンドは、8アンダー首位からスタートした韓国出身のソク・ジョンユル(55)が66で回り、通算14アンダーまでスコアを積み上げて完全優勝を果たした。連日のボギーフリーに大会コースレコードを達成するなど、驚異的な強さを知らしめた。2位にはプラヤド・マークセン(58)が怒涛の62をマークし通算11アンダーで首位に3打差まで迫った。3位は通算7アンダーと安定したプレーを見せた手嶋多一(55)。手嶋は3日前に行われた九州サーキット熊本オープンで若手を抑えて優勝を飾ったばかりで、ベテランプロとしての存在感を示している。
ソク・ジョンユルは日本シニアツアーに参戦して4シーズン目を迎える。2018年に日本のプロテストに合格。シニアデビューは2019年で、同年ISPSフィランスロピーシニアで初優勝。しかしコロナ禍の影響を受け20、21年と来日は叶わなかった。日本上陸が緩和された2022年には賞金ランキング15位、2023年は22位と成績を残している。
「毎回優勝することを目指して戦っています」とソクは高いモチベーションを維持して挑んでいるという。しかし今週は「優勝ということを全く意識しないで、プレーに集中しました。集中して、とにかく楽しくプレーしようと思っていた」と振り返る。その結果が好成績につながり、優勝を引き寄せるとは思ってもいなかったようだ。
優勝を確信したのは16番パー5で「ティーショットはミスしましたが、レイアップして4メートルにつけてバーディが来て、追い上げてきたマークセン選手のプレッシャーから解放されました」と振り返った。
好調の要因として、今年に入りパターをチェンジしたことを挙げた。「これまで長く愛用していたものからチェンジしたら、バーディが決まるようになった感じですね」と安堵する。強さの片りんを見せたのは、先月のコマツオープンで67・69・69とアンダーを重ね6位タイと上位に入賞。ソクと同じ韓国出身でレギュラー3勝、シニア1勝を挙げているI・J・ジャンが「ソクプロはドライバーも飛ぶし、パターがどこからでもはいる」と絶賛しているプロの一人である。
日本シニアツアーの合間には、母国である韓国シニアツアーにも参戦。韓国シニアツアーは今年13試合開催されており、ソクは4月の開幕戦で優勝。韓国シニアの賞金ランキングは現在5位につけている。2020年には韓国シニアの賞金王にも輝いており、韓国キャロウェイと唯一の契約選手ということで人気を集めているという。
そんなソクは、韓国シニアツアーよりも日本シニアツアーが主戦場。「日本のゴルフ場の景観が美しい。四季折々で鮮やかで、心が洗われます。韓国には鮮やかなゴルフ場は本当に少ない。それに賞金総額も高いので、プロゴルファーとして戦いがいがあります」と来日する理由を話した。「私の娘が次戦のファンケルクラシックで2度目のキャディを務めることになって嬉しいですし、日本での楽しみが増えました」とソクは家族との再会を心待ちにし、父親のやさしい顔になった。
今年は7月の全英シニアオープンでK・J・チョイ、9月の日本シニアオープンでは虎崔星が優勝と韓国シニア選手の躍進も目立っている。日本シニアツアーは後半戦に入り、次戦のファンケルクラシック、福岡シニアオープン、コスモヘルスカップ、そして最終戦のいわさき白露シニアで今年の賞金ランキングが決まることになる。これまで4度のシニア賞金王に輝いているプラヤド・マークセンも復調の兆しを見せる中で、上位争いはますます混迷の様相であることは間違いない。