初日2アンダー2位と好スタートを切った工藤広治。自身の経営する「工藤ゴルフスクール」では、トラックマンを使用した「飛距離アップ」のレッスンやクラブフィッティングを行っている。個人レッスンが中心で、茨城県にある練習場やゴルフ場が活動拠点であり、この静ヒルズでもラウンドレッスンをする機会があるという。
「良く知るコースというのは、それだけマネジメントが求められますよね。特に試合だと意気込んでしまうので、これまで初日に大叩きする傾向があって、ティーチングプロ選手権のレギュラーでも毎年、初日に崩れていて…」と悔しがる。それが今年は一転、良く知るコースでも初日に2アンダー2位タイと好スコアにつなげた。
「初日のスタートは本当に大事。僕の場合はドライバーで300ヤード近く飛距離が出るので、本番になると突き抜けたりする。軽く打つのが下手なんですよ。スコアも落としてくると力んじゃって、ショットも曲ってと、悪循環だった。だから今年こそは厳しいコンディションの中で、自分の決めたマネジメントをやり通して、ようやく結果が出ました」と胸をなでおろした。
工藤は自分の武器である「ドライバー」を封印。その代わりに「ミニドライバー(ブラッシー)」を登場させた。ドライバーの飛距離は300ヤード、3Wでは255ヤード。フェアウェイに置くマネジメントの中では、3Wでは距離が足りない。その中間がミニドライバー(270ヤード)だったのだ。「これまでレギュラーではフルバックティーからだったのに、シニア入りしてからは、ひとつ前のティーから打つことが多いことが分かったんですね。それがミニドライバーでちょうど置ける距離がつかめて、ショットに自信が持てる感覚はあります」と分析する。工藤の「ミニドライバー」は、スコアを安定させる新兵器になった。「課題だった初日をクリアできましたし、あと1日は自分のレッスン理論を効果的に活用しつつ、力まず残り18ホールに挑みます」と最終日を見据える。
第1ラウンド同スコアで並んだ林稔は、工藤にとって18歳のころから一緒にゴルフをしてき仲の良い先輩後輩の間柄。「シニアになってから再会が叶って、同組で戦えるというのは、プロゴルファー冥利につきますよね」と嬉しさをにじませた。工藤が登録するYoutubeチャンネルの番組名にある「諸行無常」という言葉が、このタイミングでしっくりと響いていた。