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【日本グランドシニアユニテックス杯/FR】「優勝をみせられて良かった」東聡は昨年一緒に悔しい思いをした“愛妻”の前でリベンジ達成

2024年09月28日
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60歳以上のグランドの部は、連日の「67」でトータル8アンダーまで伸ばした東聡が、初日からトップを譲らない完全優勝で、昨年プレーオフで敗れたリベンジを果たした。最終ホールで劇的なショット・イン・イーグルを決めた水巻善典が1打差のトータル7アンダーで2位。グランドルーキーの田村尚之がトータル6アンダー・3位に入った。

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和歌山県の南紀白浜ゴルフ倶楽部で行われた昨年の「日本プロゴルフグランドシニア選手権~ユニテックスHDカップ~」では、トータル7アンダーで並んだ東聡と久保勝美のプレーオフに突入。2ホール目で10メートルを沈めてバーディを奪った久保に軍配が上がった。兵庫県の宝塚クラシックゴルフ倶楽部に舞台が移った今年、東は並々ならぬ決意を持って会場入り。「去年はプレーオフで負けたのがすごい悔しくてね。宝塚に来るまでそれが頭によぎっていた。日本グランドに出る以上は獲りたいなと思っていた」。

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初日は「ティショットの調子が悪い」と言いながらも、6バーディ・2ボギーの「67」でまとめて、4アンダーで単独首位発進。そして、最終日も1番と5番のパー5でしっかりバーディを奪って勢いに乗ると、一度も並ばれることなく、連日の「67」でトータル8アンダーまで伸ばして完全優勝を遂げ、昨年のリベンジを見事に果たした。

日本というのは響きがいいよね。スポンサー競技とはちょっと違う。公式戦はちょっと違うね。年間1試合しかないからオリンピックみたいなもの。今年に限っては狙って勝てた感じ。良かったね」。1991年のレギュラーツアー「日本プロゴルフマッチプレー選手権」以来となる33年ぶりの日本タイトル獲得を素直に喜んだ。

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後続に3打差のリードを持って最終18番ホールを迎えたが、「ちょっとゾッとした」というのは、同じ最終組で回る水巻善典が残り123ヤードのセカンドショットを直接入れてイーグルとしたから。東はすでにパーオンしていたが、この時点で水巻とは1打差となった。「(自分の)ボールが止まった位置がちょっと手前なのかなと思っていた」。もし3パットのボギーを叩けば、昨年のようにプレーオフとなっていたかもしれない。しかし、そんな東の心配は杞憂に終わる。「思ったよりも近かった」と、3メートルをきっちり2パットで沈めて逃げ切った。

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日本グランドのタイトルを獲るために東は「ゴルフの組み立て」を修正していた。「それまでピンまでの距離をそのまま打ってしまうみたいな、大雑把な感じがあった。このコースはピンまで打って横につくと近くても難しい。ボギーを打っているホールは、アプローチでピンに届かしちゃって曲がるラインを打っていた。1メートルでも2メートルでもピンの手前に真っすぐのラインにと考えてアプローチした」。アプローチでOKに寄せる意識を捨てることで、優勝を引き寄せた。

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プロになってすぐにジャンボ軍団入り。レギュラーでは7勝、シニア入りしてからも2勝を積み上げた。勝つ度に頭に浮かぶのは師匠の姿だった。「ゴルフのプロの第一人者が尾崎将司でしょうね。ゴルフのプロだけでなく、スポーツのプロという感じがする。ああならないと勝てないというのを何十年も見てきたし、少しでも近づけるようにと思いながら毎年(ジャンボ軍団の)キャンプをやっていた。何の試合に勝ってもジャンボさんのおかげだと感じている」。ゴルフに対してストイックに向き合う姿勢は、63歳となった東の中にいまだ息づいている。

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また、試合中は真剣な顔でクールに見える東だが、孫の話になると一気に表情が緩む。息子には小学校2年生の女の子と4歳の男の子、娘には1歳半の女の子がいる。「頻繁には会えないけど、たまたま先週うちに来て会っていました。それもいいリフレッシュになっていると思います。やっぱり動物園に行ってまでゴルフのことを考えないからね」。それを近くで聞いていた妻の美和子さんは大爆笑。試合中のじいじと、孫と一緒に遊ぶじいじは別人らしい。


そんな美和子さんの前で勝てたことも東には意味がある。「去年はキャディをやって悔しい思いをしているからね。優勝をみせられて良かったと思います」。美和子さんはいつも試合に帯同し夫を支えている。そんな愛妻に対し、「普段通りの生活を、試合に来てもしている感じかな。家にいる感じが試合でも。それも良い結果になるのかなっていうのはある」と、少し照れながら感謝する。


家に帰ると「ゴルフの話はしない。理由は分からないけどゴルフの中継も見せてくれない(笑)」という東だが、きっと今夜は2人で祝杯を挙げるに違いない。

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