53歳ながらドライバーはキャリーで300ヤード飛ばす兼本貴司。昨季賞金王の宮本勝昌が『日本のパドレイグ・ハリントン』(※ハリントンはメジャー3勝を含む米ツアー6勝のトップ選手で飛ばし屋)と怖れるほど、シニアで圧倒的な飛距離を誇る。その兼本が「コマツオープン」の2日目に魅せた。
515ヤード設定の1番パー5で、兼本のティショットは左のラフへ。残り190ヤードのセカンドは「フォローだったのでフライヤーを計算して8番アイアンで打った」。それが見事に2オン。カップまでは13メートルと距離があったが、「寄せようと思ったのが入ってくれた」と、幸先良くおはようイーグルで発進した。
そこから5番、7番、8番とバーディを奪って順調にスコアを伸ばしたが、後半に入って10番から17番までは停滞、パーを並べた。最終18番パー5ではセカンドでグリーンカラーまで運ぶと、残り29ヤードからパターで打った3打目は「逆目でパンチが入るのが嫌だった」と3メートルショート。次のバーディパットをしぶとく沈めて、最終日最終組に滑り込んだ。
トーナメントはトータル10アンダーで片山晋呉、プラヤド・マークセン(タイ)、平塚哲二が並び、兼本は1打差のトータル9アンダーで追う展開。その4人があすの最終日は最終組で火花を散らす。「最終組の方がいい」と直接対決は望むところ。「シンゴのゴルフも、マークセンのゴルフも見たいというのがあるので」と楽しみにもしている。
片山と上田諭尉が2日目のベストスコアとなる「64」をマークしており、最終日も伸ばし合いが予想される。「残り3ホールで3打差まではチャンスがあると思う。そこまでは剥がされないようにいきたい。その時が来たらスイッチが入るところがあると思います」。
兼本は今季開幕戦で勝利し、賞金ランキングでは1位の宮本勝昌(1973万3000円)、2位の片山晋呉(1930万3333円)とは僅差の3位(1912万9428円)。およそ60万円差の中に3人はいる。今大会の優勝賞金は1500万円、次週の「日本シニアオープン」も1600万円と高いため、この2試合の優勝の行方が、そのまま賞金レースに大きく影響するのは間違いない。兼本はハリントンばりの飛距離のアドバンテージを活かして今季2勝目に突き進む。